鴨川市立国保病院、新たな福祉の試み
千葉県に位置する鴨川市立国保病院が、介助犬の導入をサポートする「介助犬導入相談専門員」を導入することを決定し、この活動を2023年8月15日からスタートしました。これは、全国に先駆ける試みであり、介助犬の普及を目指す重要なステップとされています。現状、2024年4月時点で日本国内の介助犬の実働数はわずか59頭とされており、健常者と選択肢の少ない身体障害者のために、この取り組みが大きな影響を与えることが期待されています。
介助犬導入相談専門員とは
この新しい専門職は、社会福祉法人日本介助犬福祉協会に公認された資格制度に基づき設置されます。従来の介助犬育成団体が行っていた導入に関するアセスメント作業を専門員が担うことで、より効率的に介助犬の導入を進めることができます。この資格制度は、2024年4月に創設された民間資格であり、身体障害者支援の最新の試みとなっています。
実は、2017年以降、身体障害者補助犬法が施行されても介助犬の実働数は減少の一途を辿っています。これは、政治的なサポート不足や資金源の乏しさなどが影響しています。介助犬の育成活動は多くの時間と資金を要しますが、収益源が寄付金や支援金に限られるため、活動はなかなか軌道に乗らないのが現状です。
そこで登場したのがこの介助犬導入相談専門員制度。実際にこの専門員によって介助犬の導入が成功した事例も生まれています。これまでに全国で200名以上の合格者が誕生し、既に500名以上がこの資格取得に向けて学んでいます。この新資格は、介助犬の普及を加速する重要な鍵となるでしょう。
鴨川市立国保病院の動機
この制度を導入するに至った背景には、2024年1月に開催された勉強会「安房医療ねっと」があります。このイベントには、日本介助犬福祉協会の介助犬訓練士が講師として招かれ、介助犬に関する新たな知見が共有されました。その結果、医療従事者たちは介助犬の必要性を感じ、資格取得に取り組むことを決めました。現在、病院内では6名が資格取得を目指して学んでおり、同時に介助犬の適合者を探す活動も行っています。
資金調達と市民の支援
加えて、今年度の介助犬育成プロジェクトは、市民からの寄付金によって支えられています。この寄付金はクラウドファンディングを通じて集められており、特に介助犬や聴導犬の育成に充てられています。公的な支援が不足する中で、こうした市民の力が介助犬の普及にとってどれだけ重要であるか、今後さらに注目されるでしょう。
今後の展望
日本介助犬福祉協会は「#みんなで届ける介助犬」をテーマに、全国への活動拡大を目指しています。介助犬導入相談専門員の資格を持つ方々には、全国600万人の介護業界で活躍してもらう計画です。また、介助犬を使用した生活環境を提供するための障害者グループホーム事業も見据えています。これにより、介助犬の活動領域が広がり、より多くの身体障害者の生活に貢献できることを期待しています。