AIが切り開く再生可能エネルギーの未来:大阪ガス、太陽光発電量予測コンペティションで圧勝
近年、地球温暖化対策の観点から、再生可能エネルギーへの転換が加速しています。その中でも、太陽光発電は重要な役割を担っていますが、天候に左右される発電量の予測は大きな課題となっています。この課題解決に挑むべく開催された「第2回太陽光発電量予測AIコンペティション」で、大阪ガスがAIを活用した予測技術でトップ賞を獲得しました。
予測困難な太陽光発電、AIが精度向上に貢献
太陽光発電量は、日射量や気温、天候など様々な要因に影響を受け、正確な予測が非常に困難です。そのため、発電計画と実績のずれから生じるインバランスコストが、発電事業者にとって大きな負担となっています。特に、2022年度から始まった市場連動型の買取制度(FIP)では、正確な予測が事業の収益性に直結するため、高精度な予測技術の開発が急務となっています。
大阪ガスは、長年にわたる気象予測技術の研究開発を土台に、AI技術を融合した独自の予測システムを構築しました。このシステムは、高解像度のメッシュデータを用いた地形の影響分析と、観測データに基づく機械学習を組み合わせることで、従来技術を凌駕する高い予測精度を実現しています。
コンペティションでの成果
今回のコンペティションでは、スマートエナジー社が保有する3か所の発電所を対象に、大阪ガスは独自の技術で日射量などの予測値を算出。過去2年間の発電量データや気象データを学習させたAIを活用し、2024年9月2日~13日の発電量を予測しました。その結果、クローズ部門で総合トップ賞に加え、対象となった3か所の発電所すべてで個別トップ賞を獲得するという快挙を達成しました。
実用化と更なる発展
大阪ガスのこの革新的な技術は、既に実用化段階にあり、全国約4万9000件、合計容量35万kW超の発電所(家庭用を含む)を対象とした日々の予測を実施しています。2023年7月からは、電力ビジネス事業者向けにも予測サービスの提供を開始し、多くの事業者のインバランスコスト削減に貢献しています。
今後、大阪ガスは、この発電量予測技術と需要予測技術を融合させることで、電力需給管理の高度化を目指します。再生可能エネルギーの更なる普及と安定供給に貢献し、持続可能な社会の実現に貢献していくことが期待されます。
大阪ガスの取り組み:再生可能エネルギーの未来へ
大阪ガスは、エネルギー事業におけるAI技術の活用を積極的に推進しており、今回の受賞は、その技術力の高さを証明するものです。気象予測技術とAI技術を融合した独自のシステムは、太陽光発電の予測精度を飛躍的に向上させ、再生可能エネルギーの安定供給に大きく貢献しています。この技術は、発電事業者のみならず、電力需給管理全体にとっても重要な役割を果たし、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを加速させるものと期待されます。