シリコンと銅の同時研削技術が進化する
JST(科学技術振興機構)が開発した最新の全自動研削装置が、シリコン(Si)貫通電極ウェーハの研削工程を一新します。この革新的な装置は、産業技術総合研究所のもとで進められており、JSTが支援してきました。このプロジェクトは、平成28年から現在に至るまで、株式会社岡本工作機械製作所によって実用化が進められてきました。
自動研削装置の基本構造と機能
新たに開発された「Si貫通電極ウェーハ全自動研削装置」は、ウェーハの裏面から貫通電極が露出するように研削加工を行うシステムです。この装置の特徴は、高い通水性を持つ研削砥石を採用し、目詰まりしにくく、さらに厚みの自動補正機能によって、Si貫通電極の長さのばらつきを極限まで抑えます。
より安定的で精密なSiと銅(Cu)の同時研削が実現され、効率の向上が図られています。これにより、製造工程におけるトラブルが減少し、全体的な生産性が改善されることが期待されています。
研削後のウェーハ処理
また、研削加工後のSiウェーハに対しても、アルカリイオン水洗浄、無電解メッキ、Siウェットエッチングという処理が施されます。これにより、Si上の残留するCuが効果的に除去され、Cuの溶け出しを防ぐことが可能です。特に、一般的な金属濃度以下までCuを除去できることから、品質管理も飛躍的に向上しています。
低コスト化と効率化の可能性
この装置の導入がもたらすメリットは、そのプロセスの効率化にとどまりません。ウェーハレベルでの直接積層が可能になるため、コストの削減も期待されます。これにより、半導体産業全体の生産コストが見直されることになるかもしれません。
今後、この技術がデバイスメーカーと連携して進められることで、さまざまなデバイスに応用され、高性能な半導体回路の実現が期待されています。こうした技術革新は、次世代の電子機器に新たな価値を提供し、私たちの生活に大きな影響を与えるでしょう。
さらに詳しい情報については、JSTのプレスリリースをご覧ください。
JSTプレスリリース