農業の未来を切り拓く「近大ICT農法」
近畿大学農学部が持つ「近大ICT農法」は、ICT技術を駆使して効率的かつ安定した農作物の生産を目指す新しい農業手法です。この技術を活用した「近大ICTメロン」の栽培が、奈良市にある同大学で行われています。
マレーシア農業研究開発研究所との国際交流
令和7年(2025年)6月17日、近畿大学農学部には、マレーシア農業研究開発研究所(MARDI)の研究員3名が訪れる予定です。この視察の目的は、「近大ICT農法」によるメロン栽培の技術を学び、国際的な技術交流を深めることです。この農業研究所は、1971年に設立され、約50年間にわたり新しい作物や管理技術の開発に取り組んできた実績を持ちます。
近畿大学の農学部では、マレーシアの研究者が視察を行う前に、メロン栽培の現状や「近大ICT農法」の技術説明が行われる予定です。このような国際的な交流が、学術の深化だけでなく、農業技術の進展にも貢献することが期待されています。
「近大ICT農法」とは何か?
一般的な農業では、栽培管理は個人の経験や直感に頼ることが多いですが、「近大ICT農法」は情報通信技術を取り入れることで、初心者でも取り組みやすくしています。具体的には、土壌センサーや日照センサーを用いて、最適な水分や液肥を自動的に供給し、畑の状況をスマートフォンで遠隔から確認することができます。
この完全自動化された肥培管理システムは、農作業の効率を大幅に引き上げ、収穫量の増加と品質の安定化を実現します。近畿大学農学部では、教員と学生が協力してこの技術を駆使した栽培活動を行っており、毎年新しい農学部生に技術が引き継がれています。
期待される成果
今回の視察を通じて、マレーシアの研究者たちは「近大ICT農法」の実践的な技術を学び、自国の農業への応用を考えるきっかけとなるでしょう。また、農学部生にとっても、国際的な視点での学びが深まる貴重な機会となります。視察後には、ICT設置温室の見学が予定されており、実際に栽培されている「近大ICTメロン」の成長過程を観察します。
メロンの栽培に関する最先端の研究が進められる中、こうした国際交流は双方の技術向上に寄与し、持続可能な農業の発展へとつながるでしょう。これからの農業は、テクノロジーを利用した革新が求められています。「近大ICT農法」は、その一翼を担い、未来の農業を形作る重要なステップとなることでしょう。