野村不動産、物流事業に新たな挑戦
2025年4月以降の3年間で総額約3,400億円をかけて、野村不動産が新たに15棟の高機能型物流施設「Landport」シリーズの開発を決定しました。この戦略的な投資は、物流業界が直面する様々な課題を解決し、地域経済の活性化を促進することを目的としています。
物流業界の課題とその解決策
現在、日本のEC市場は急成長しており、令和5年には24.8兆円に達しています。しかし、その成長に伴って、運送業者は時間外労働に対する規制による「2024年問題」や、労働力不足といった深刻な課題に直面しています。もし対策を講じなければ、2030年度には約34%の貨物輸送量が不足すると予測されています。
このような背景から、国土交通省が主導し、業界全体で効率化を図るべく様々な取り組みを進めています。野村不動産もこの流れに沿って、首都圏以外の地域での物流施設の開発を加速し、長距離の配送の中継地点を提供することを目指しています。さらに、物流施設内での自動化や省人化を推進する「Techrum」プログラムを活用し、顧客ニーズに応じたソリューションの増加にも取り組んでいます。
地域コミュニティと雇用創出への取り組み
新たに開発される物流施設は、ただ単に貨物を扱う場でなく、地域コミュニティの一員として機能することが求められています。例えば、2025年に竣工予定の「Landport横浜杉田」では、地域の防災協定の締結や地元住民参加型の防災イベントの開催が予定されています。また、屋上には農園を設けており、地域住民との交流や教育の場としても利用される予定です。
このように、物流施設が地域に貢献することは、雇用の創出はもちろん、地域経済の活性化にもつながると考えています。
自動化と省人化の進展
野村不動産の「Techrum」プログラムは、2021年の発足以来、自動化と省人化をテーマにしたソリューション提案に大きな成果を上げています。215社のパートナー企業と連携し、415社が参加したデモ会を通じて、具体的な物流業務に適した最適化手法を模索しています。
これにより、効率的なオペレーションが実現され、さらなる課題解決への道が開かれています。今後は、他の地域でも展示会が行われる予定で、自動化技術の普及を目指しています。
CLOサロンによる人材育成
さらには、運送事業者の労働環境の改善に向け、「CLO(物流統括管理者)」の重要性が増している中、野村不動産は「CLOサロン」を立ち上げました。ここでは、業界の最新事例や情報を共有し、人材育成を促進しています。これにより、CLO候補者が業界内での情報交流を行いつつ、自社の改善策を探る場とすることが期待されています。
まとめ
野村不動産の取り組みは、物流業界の未来を切り拓くための重要な一歩です。地域のコミュニティと連携しながら、効率化や自動化を進めることで、物流の課題を解決し、経済の活性化を目指しています。これからの「Landport」シリーズの発展にも注目です。