肝がん治療の新法
2026-09-16 14:14:18

肝動脈化学塞栓療法と免疫療法の組み合わせ新治療法の期待

肝動脈化学塞栓療法と免疫療法の新たな組み合わせ


近畿大学医学部の工藤正俊教授が率いる国際共同研究グループは、難治性の肝細胞がん患者に対しての新たな治療法の開発を発表しました。従来の肝動脈化学塞栓療法(TACE)に免疫チェックポイント阻害剤であるアテゾリズマブと、血管新生阻害剤ベバシズマブを併用することで、無増悪生存期間の延長が見込まれ、全生存期間の改善も期待されています。

研究の背景と目的


日本で昭和58年に開発されたTACEは、肝細胞がんの治療において世界的に標準となっている手法です。この治療法は、がん細胞の成長を抑制するために、カテーテルを用いて抗がん剤と塞栓物質を直接肝動脈に投与します。しかし、高腫瘍量で切除不能な非転移性肝細胞がん患者においては、この治療法の効果には限界がありました。

一方、近年では新たな免疫療法薬の開発が進み、特にアテゾリズマブとベバシズマブの組み合わせが標準治療となっています。しかし、これらの薬剤がTACEと併用された場合の効果については未知であり、その可能性を検証するために本研究が実施されました。

研究の方法


本研究では、切除不能で高腫瘍量の肝細胞がん患者342人を対象に、アテゾリズマブ・ベバシズマブ+TACE群とTACE単独群に無作為に割り付けました。主要評価項目として、治療後の無増悪生存期間が設定されています。研究の結果、アテゾリズマブ・ベバシズマブ+TACE群での無増悪生存期間の中央値が11.30カ月に延びたことが確認されました。

結果と考察


その結果、従来のTACEのみの治療と比較して無増悪生存期間は有意に延長され、全生存期間の改善傾向も示されました。この研究成果は、非転移性で高腫瘍量の肝細胞がん患者において、アテゾリズマブおよびベバシズマブを併用することで、治療効果を大幅に向上させる可能性を示しています。

工藤教授は、「新たな治療法が承認されれば、非転移性肝細胞がん患者に対する治療の選択肢が広がります。これにより、より多くの患者に完治の可能性がもたらされることが期待されます。」と述べています。

今後の展開


本研究成果は、今後の臨床現場において、特に高腫瘍量の肝細胞がん患者に対しての治療法としての可能性を秘めています。この併用療法が新たに承認されれば、切除不能の肝細胞がん患者に対する標準的な治療選択肢となるでしょう。

論文の掲載と注目ポイント


本研究に関する詳細は、消化器・肝臓分野の学術雑誌「The Lancet Gastroenterology and Hepatology」に2026年8月25日に掲載されています。この画期的な研究結果は、今後の肝細胞がん治療に革命をもたらす可能性があります。

結語


肝がん治療における新たなアプローチは、患者たちに明るい未来をもたらすかもしれません。免疫療法剤と血管新生阻害剤の併用による効果が今後どのように実現されていくのか、注視していく必要があります。

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