岡山大学が開発した新しいマクロラクトン化反応
国立大学法人岡山大学が、光エネルギーを利用した新たなマクロラクトン化反応の開発に成功しました。この研究は、異分野にわたる複数の研究者によって進められ、光を利用したラジカルの生成を基盤とした手法が特徴です。具体的には、いまだ利用例が少なかったヒドロキシアルデヒドを原料に、LED光と臭素化剤を使って、7~21員環のラクトンを効率よく合成する技術を確立しました。
マクロラクトンの重要性
マクロラクトンとは、生理活性物質として知られる重要な化合物で、多くの医薬品にも含まれています。そのため、マクロラクトンの効率的な合成方法が求められており、今回の研究成果は大きな意義を持つものと考えられています。特に、今後はこれを利用することで、生理活性作用を持つマクロライド系天然物の全合成が期待され、医薬品の開発が加速する可能性があります。
研究チームの発表
この研究を主導したのは、学術研究院先鋭研究領域の田中健太助教をはじめとする共同研究グループです。研究チームは、最適な反応条件を見つけるのに苦労したものの、様々なマクロラクトンを合成することに成功しました。田中助教は、今回の成果が誰かの健康や幸せに寄与できることを願っています。
論文の公表
この研究結果は、2025年11月14日にアメリカ化学会が発行する学術誌「Precision Chemistry」に掲載されました。論文名は「Photochemical Macrolactonization of Hydroxyaldehydes via C–H Bromination」で、著者には小滝咲氏、安藤早春氏、髙村浩由准教授、門田功教授、そして田中健太助教が名を連ねています。
将来の展望
今後は、今回の技術を生かしたさまざまなマクロライド系天然物の効率的な合成が期待されます。医薬品の開発をさらに加速させるための新しいアプローチとして、この反応が広く活用されることが望まれています。
岡山大学異分野基礎科学研究所(RIIS)では、今後も多様な科学的探索を続け、この分野のさらなる発展に寄与することを目指しています。
研究支援
この研究は、JSPS科研費(若手研究)と公益財団法人ウエスコ学術振興財団の支援を受けて進められました。岡山大学は、地域社会や地球の持続可能な発展に貢献することを目指して、さまざまな研究活動を展開しています。私たちの健康と幸せを支えるために、岡山大学の研究者たちの挑戦が続いていることを期待しましょう。