溶連菌の感染急増
2019-06-11 18:52:59

今年増加中の溶連菌感染症とその正しい対策法とは?

最近、溶連菌感染症の増加が報告されています。特に、溶連菌の正式名称であるA群溶血性連鎖球菌は、多くの場合、咽頭炎を引き起こします。咽頭炎の代表的な症状は喉の痛みや発熱ですが、風邪のように咳や鼻水が少ないことがこの感染症の特徴です。また、特に小さな子どもでは、典型的な症状が現れないこともあります。例えば、3歳未満の子どもでは鼻水や鼻づまりが目立つこともあり、注意が必要です。

感染の潜伏期間は2~5日と短く、医療機関での検査によって溶連菌と判明した場合には、通常10日間の抗菌薬治療が行われます。しかし、合併症としてリウマチ熱や急性糸球体腎炎が起こる可能性があるため、軽視することはできません。リウマチ熱は一生にわたり後遺症を残す可能性もあり、正しい知識を持つことが大切です。

さらに、溶連菌の中には劇症型溶連菌感染症という危険なタイプも存在し、これに感染してしまうと命にかかわることもあります。子どもがいる家庭ではぜひ注意を払いたい感染症です。

【溶連菌の感染経路と予防】
溶連菌感染の主な経路は飛沫感染です。患者が話したり、くしゃみをしたりした際に放出される飛沫によって菌が広がります。このため、特に多くの人が集まる場所では感染リスクが高まります。特に、長期の休暇中は感染の件数が減少する傾向があります。

予防のためには、手洗いが最も基本的かつ効果的な方法です。ウイルス性疾患には抗菌薬が効果がないため、風邪やインフルエンザにかかる前からきちんと手を洗う習慣をつけることが重要です。外出から戻った時や食事の前は、しっかり手を洗いましょう。

【自己判断は禁物】
子どもが「のどが痛い」と訴えた場合、すぐに溶連菌を疑うのは避けるべきです。他の病気と区別するため、必ず医療機関での検査を受けることが必要です。特に3歳未満のお子さんは合併症のリスクが低い場合もあり、必ずしも検査が必要ではありません。

また、溶連菌感染がない場合でも、自己判断で抗菌薬を与えることは避けてください。医師からの指示をきちんと受けることが、適切な治療に繋がります。そして、抗菌薬を処方された場合は、指示通りに飲み切ることが非常に大切です。

【抗菌薬の正しい使い方】
抗菌薬は主にペニシリン系のものが使われますが、症状を抑え合併症を予防するためには、医師の指示通りに10日間服用することが求められます。抗菌薬を途中でやめないことが非常に重要です。自己判断で抗菌薬を使用すると、予期しない副作用を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。また、抗菌薬には体に良い菌も殺す作用があるため、抗菌薬による下痢が見られることがありますが、大きな心配は不要です。

【薬剤耐性菌の問題】
抗菌薬の過剰な使用や不適切な使用は、薬剤耐性菌の発生を助長します。これが広がることで、従来効いていた抗菌薬が効かなくなる危険性が高まります。国連は、2050年までに薬剤耐性によって年間1000万人が死亡する可能性があると警告しています。私たち一人ひとりが抗菌薬の正しい使用と感染症の予防に努めることが求められます。

健康を守るためにも、溶連菌や抗菌薬について正しい知識を持ち、適切な対策を講じていきましょう。

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国立研究開発法人 国立国際医療研究センター AMR臨床リファレンスセンター
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