日立、バイオものづくりの新技術を発表
日立と国立大学法人 大阪大学は、バイオものづくりにおける微生物や培養プロセスの開発に向けて、測定対象を数理的に選定する技術を共同開発しました。この技術は、細胞内の代謝物を優先的に測定するための計画を立てる手助けをします。
技術の仕組み
この新技術は、微生物の細胞内での化学反応を数理的にモデル化する際、各代謝物の測定が未知の代謝モデルの解明にどれほど寄与するかを評価します。そのために、情報理論に基づき、測定する価値の高さを数値化します。実際の実験データを使用することで、代謝モデルの精度を高めるための「重要な測定対象」をより効率的に選定できます。
具体的には、コハク酸を生成する大腸菌を用いたモデルで、この技術を適用しました。5種類の代謝物を比較した結果、重要と評価された物質の測定データを新たに組み込むことで、モデルの解明度を29.8%向上できることがわかりました。この結果は、限られた資源で実験を行う中でも、開発に必要な情報を得やすくする可能性を示唆しています。
バイオものづくりの期待
近年、脱炭素化に向けてバイオものづくりへの期待が高まっています。素材や化学品の生産において、微生物の活用が進む中、データ駆動型の開発が必要とされています。経済産業省は、伝統的な技術に依存せず、データを活用した高度な生産技術の重要性を示唆しています。
現在の課題
しかし、微生物が特定の物質を安定的に生産できる条件の特定は容易ではありません。そこで、代謝モデルをデジタル技術によって可視化し、物質生産に及ぼす影響を事前に予測する取り組みが進行中です。しかし、測定対象となる代謝物候補が多数存在するため、全てを網羅的に測定することは難しいのが現状です。このため、どの代謝物を優先するべきかの判断は、これまで専門家の経験に基づくものでした。
日立の技術の特長
日立は、情報理論を用いて測定対象を数理的に選定する技術を開発しました。この技術は、2種類の情報利得をもとにしており、どの代謝物の測定が効果的かを客観的に評価することができます。これにより、測定対象の選定とその結果の有効性を確認できるようになります。
今後の展望
日立はこの技術を基に、実際の開発プロセスにおける有効性を検証していく計画です。また、得られたデータと知識を融合し、根拠に基づいた開発・生産を推進することで、持続可能な産業基盤の高度化に貢献することを目指しています。この成果は、2026年8月26日から28日にかけて神奈川県相模原市で開催される日本バイオインフォマティクス学会年会で発表される予定です。
まとめ
日立が開発したこの測定対象選定技術は、バイオものづくりのプロセスを効率化し、よりデータに基づく生産が可能になることを目指しています。今後の展開に期待が寄せられます。