経営者の自社譲渡に関する意識調査
国内企業の事業承継や成長戦略としてM&A(合併・買収)がますます注目を集める中、株式会社fundbookが実施した調査が興味深い結果をもたらしました。この調査は、自社の譲渡を考えない経営者を対象に行われその背景にはどのような理由があるのかを探るものでした。
調査の背景
M&A市場は年々成長を続けており、後継者問題という厳しい現実の中、企業が承継手段としてこの選択肢を考えることが多くなっています。しかし、帝国データバンクによると、今後5年以内にM&Aを考えている企業は約1割に留まるという現実もあります。これを踏まえ、fundbookは経営者が自社譲渡を考えない理由を具体的に調査しました。
主な調査結果
調査の結果、自社の譲渡を検討しない経営者の主な理由として「単独成長志向」と「現状への満足」という2点が挙げられました。具体的には、以下の点が明らかになりました。
1.
譲渡を検討しない理由: 「自社独自で成長する意欲」や「現在に対する満足感」が高く、多くの経営者が譲渡の必要性を感じていないことがわかりました。
2.
譲渡に対する抵抗感: 他社の文化や風土が入ることへの抵抗、従業員の待遇の変化を懸念する声は少数にとどまります。
3.
将来的な譲渡の要因: 後継者不在、経営への疲れ、単独では成長に限界を感じることなど、自身の経営者としての「引き際」を気にする傾向が見受けられました。
4.
企業規模と後継者問題: 従業員が少ない企業は後継者不在のリスクが高く、譲渡という選択肢を視野に入れやすいようです。
特に「自社単独での成長を優先したい」「現状に不満はない」という考えの経営者は、譲渡をあまり選択肢に入れていないことが判明しました。
今後の展望
調査から浮かび上がった経営者の「単独成長志向」と「現状満足」という心情は、今後のM&A市場の動向にも影響を与える可能性があります。自社が順調に運営されていれば、経営者は譲渡を急がないことが多いと考えられます。
また、将来的には後継者問題や経営の疲れが一つの契機となり、譲渡を真剣に検討する経営者が増加する可能性もあるでしょう。
調査概要
この調査は2025年4月11日から16日までの期間に、インターネットを利用して実施されました。対象は、譲渡を一度も考えたことがないと回答した20歳以上の経営者1597名です。
企業の紹介
株式会社fundbookはM&A仲介事業を展開する企業で、2017年に設立されました。現代表取締役の渡邊和久が率い、東京都港区に本社を構えています。資本金は20億円にのぼります。
M&Aが企業戦略として浸透する中、経営者自身がその選択肢をどのように捉えているのかは、今後ますます関心が高まるテーマです。