Wi-Fi HaLowを活用した新たなドローンサービスの実証実験がスタート

広島県におけるドローンサービス実証実験

広島県の神石郡神石高原町では、最近、携帯電話の電波が届かない地域においてWi-Fi HaLowを活用したドローンサービスの実証実験が行われました。この取り組みは、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社（EYSC）が中心となり、総務省の地域デジタル基盤活用推進事業の一環として行われています。

背景と狙い

近年、日本全国で深刻化している過疎化と高齢化が影響し、多くの地域では快適な生活のための施策が求められています。神石高原町も例外ではなく、過疎化が進む中で店舗の閉鎖が続き、高齢者の交通手段が減少し「買い物困難者」が増加しています。そこで、ドローンを活用した物流の導入が期待されていますが、一つ問題があります。それは、この地域にはLTE（携帯電話の通信規格）の電波が届かない「LTE不感エリア」が存在していることです。この課題を解決するため、Wi-Fi HaLow技術を利用したドローンの飛行実証が実施されました。

実証内容の詳報

実証実験では2つの主要なポイントに重きが置かれました。

1. 通信手段の切り替え能力：ドローンの飛行中に通信環境が変わることを想定し、LTEとWi-Fi HaLow間でのスムーズな切り替えが可能であることを確認しました。

2. 安全な飛行の確保：LTE不感エリア内でも、Wi-Fi HaLowを用いてドローンから地面に情報を送信し、また逆に地面からドローンを安全に制御できることを確認しました。具体的には、人物をドローンの飛行ルート上に配置し、その検知をWi-Fi HaLow接続のPC上で行う試行を行いました。検知後は、地上局からドローンへの着陸指示をWi-Fi HaLowで発信し、指定した地点への着陸成功を確認しました。

このような試みは、住民の不安を解消し、ドローン物流への信頼性を高めることに寄与します。実証実験の成果は、将来的に神石高原町民の生活を向上させるためのドローン物流の実現に大きく貢献することが期待されています。

さらなる進展へ

2024年12月24日、実証実験の成功を広めるための公開視察会が開催され、参加した関係者はWi-Fi対応エリアでのドローンの飛行を目の当たりにしました。今後もEYSCは地域の課題に応じたサービス提供に力を入れ、実証事業の実施から支援を続けていく方針です。

専門家の意見

EYSCのリスク・コンサルティングパートナーは、「神石高原町の物流課題を解決するため、ドローン技術が重要な役割を果たすでしょう」と語っています。また、地域合意形成や通信環境の整備が重要であることも指摘されています。

同様に、NECや他の企業もこの実証実験に関与しており、それらの技術や知見が地域の課題解決に向けて活用されています。特に、ドローンの安全性についての配慮が、今後の物流インフラにおいて重要であるという意見が多く寄せられています。