MUFG株主総会、気候変動対策への訴え
2023年6月27日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の株主総会が東京で開催され、米国に本部を持つ環境NGO「レインフォレスト・アクション・ネットワーク」(RAN)が、気候変動への投資を停止するよう強く訴えました。このイベントは、金融機関が環境に与える影響についての重要な討論の場となり、株主や市民から多くの関心が寄せられました。
株主提案の経緯
昨年の4月、RANを含む3つの環境NGOは、MUFGら3行に対し、気候変動対策の強化と監査体制の情報開示を求める提案を行いました。しかし、その後の株主総会ではこれらの提案が否決されてしまいました。特にRANは、MUFGがどのようにして人権問題についてのデューデリジェンスを行っているのか尋ね、その結果、問題が改善されない事業への資金提供を行わないとの方針が確認されました。
アピール活動の詳細
当日の会場前では、RANのメンバーが「MUFGさん、気候変動に投融資しないで」と書かれたバナーを掲げ、力強いスピーチを行いました。また、超小型電気自動車を使用して移動広告を展開し、化石燃料事業が環境に与える悪影響や、先住民族の権利が侵害されている事実を伝えました。この広告には、昨年関係者が直接MUFGに支援停止を求めた「リオ・グランデLNG」事業に関連する地域住民の写真が使用されています。
さらに、オンライン署名キャンペーン「MUFGにリオ・グランデLNGへの資金提供停止を伝えよう!」は既に1万3,000筆を超える支持を集めており、市民の関心の高まりを示しています。
反響と今後の展望
RANの日本シニアアドバイザー、川上豊幸氏は、株主総会での決議内容に対して強い意見を述べました。「MUFGのガバナンスは依然として弱く、人権侵害への是正措置について明確な回答がない。私たちは今後も気候変動や人権面でのリスクのある事業への資金提供を止めるよう、MUFGとの対話を続けていく」とメッセージを発信しました。
化石燃料への融資問題
RANが発表した「化石燃料ファイナンス報告書2025」によると、MUFGは2021年から2024年にかけて化石燃料産業への融資額が世界第4位を記録。国際エネルギー機関(IEA)の調査では、すべての化石燃料の拡大がパリ協定に不適合であるとの分析もされています。それにも関わらず、MUFGは依然として、新規LNG事業への大規模な投資を続けています。
企業責任への意識
MUFGの対応に対し、RANはそのガバナンス体制の不備や化石燃料企業への資金提供に対して厳しく指摘しています。川上氏は、MUFGが採用している「赤道原則」により社会的責任を果たすことが求められているとしつつ、その実行が不十分であることを強調。
終わりに
このように、MUFG株主総会は、気候変動に対する金融機関の責任や、環境NGOとの関係についての重要な議論の舞台となりました。これからの日本の金融業界が果たすべき役割はますます大きくなっています。RANは、MUFGを含むメガバンクとのエンゲージメントを行い、より良い未来に向けて歩みを進めるとしています。