HashiCorpが示すエージェント型インフラストラクチャーの未来
2025年9月、米カリフォルニア州サンフランシスコで開催されたHashiConf 2025で、HashiCorpは自社のエージェント型インフラストラクチャー自動化の試みである「Project infragraph」のプレビューを発表しました。この発表は、IBM傘下のHashiCorpとして初めての取り組みであり、インフラストラクチャーとセキュリティーのライフサイクルにおけるイノベーションを結集したものです。
Project infragraphは、インフラ、アプリケーション、サービス、オーナーシップの関係をリアルタイムで視覚化し、企業が持つインフラとセキュリティーを効率的に統合する仕組みです。多くの企業が直面するインフラストラクチャーの可視性向上や運用効率化のニーズに応えるため、HashiCorpは新たな戦略的投資を行ったとされています。
エージェント型ワークフローの重要性
特に、AIの普及に伴い企業内のインフラストラクチャーが複雑化している現在、エージェント型ワークフローへの対応がますます重要になっています。Project infragraphは、ワークフローの各レイヤーで重要なデータにアクセスする方法を効率化することで、企業の業務のスピードを加速させることを目指しています。
さらに、インフラストラクチャーの状況を踏まえたピンポイントな提案を行うことで、企業の運用方法を変革し、将来的な最適化や計画業務の支援も行います。このようなインフラストラクチャーの自動化は、今後ますます求められるでしょう。
現状の課題解決に寄与
企業が持つインフラストラクチャーとセキュリティーの実行を支えるため、HashiCorpはProject infragraphを計画しています。現状、多くの企業はインフラステータスに明確な視界を持てておらず、これが新しいシステムの導入後(Day 2)の運用に支障を来す原因となっています。
Project infragraphは、これらの課題を解決し、関係性の可視化をリアルタイムで行うことで、ワークフローの効率化やチーム間の情報共有を進めます。
将来の展望
今後、Project infragraphはHashiCorp Cloud Platform(HCP)内の機能として提供される予定です。将来的な連携としては、Red Hat AnsibleやOpenShift、IBMのさまざまなソフトウェアとの統合が計画されています。これにより、企業はインフラ、セキュリティー、アプリケーションを一貫したデータモデルで扱えるようになります。
HashiCorpの共同創設者アーモン・ダドガー氏は、「今回の発表は、インフラストラクチャーとセキュリティーのデータを統合し、インテリジェントな意思決定を加速するためのプラットフォームの進化を示すもの」と語っています。これは、現代の企業が直面する複雑なチャレンジに応えるための重要なアプローチと言えるでしょう。
HashiConf 2025の概要
今回のHashiConfは、クラウドオートメーションの未来に関する意見交換の場として、技術セッション、製品発表、ハンズオントレーニングなどを提供します。イベントは多くの企業から後援を受けており、そのバーチャルパスによりオンラインでも参加が可能です。2025年に向けた新たな技術の潮流をいかに取り入れるか、今後も注目が必要です。
このように、HashiCorpが進めるProject infragraphは、企業のインフラストラクチャー自動化の未来に向けた重要な一歩となっています。参加者募集が開始されたプライベート・ベータプログラムに関心のある企業は、ぜひ応募を検討してみてはいかがでしょうか。