千葉県から始まる新しい循環型産業モデル
千葉県内で捕獲される有害鳥獣の皮革を活用する循環型の取り組みが、新たな地域産業の創出を目指しています。シシノメラボという団体が中心となり、廃棄されていた動物の原皮を資源として有効利用するシステムを構築することに成功しました。これにより、地域資源として原皮を活用する新たなプロジェクトが展開されています。
従来の課題と新たな取り組み
農林水産省のデータによると、令和5年度における千葉県内のイノシシ捕獲数は約3.5万頭に達しました。このうち、ジビエ(食肉)として活用されたのはわずか5千頭、しかも獣皮はほぼ廃棄されていました。これまでのジビエ活用が進む一方で、獣皮や骨などの副産物が効率よく活用されていない現状がありました。さらに、獣皮を廃棄物として扱うことは、環境的にも倫理的にも問題があるとされており、地域の持続可能な社会の実現に対する大きな障壁となっています。
シシノメラボは、こうした課題に対処するため、原皮の回収から保管、流通に至るまでの仕組みを整備し、野生獣原皮サプライチェーンの構築に乗り出しました。原皮専用の冷凍保管庫を新たに設置し、品質劣化を防ぎつつ、資源の安定供給を目指すというプロジェクトの発表は、地域経済における新たな息吹となっています。
原皮専用冷凍保管システムの導入
獣皮は急速に腐敗するため、適切な冷凍環境が求められます。シシノメラボでは、千葉県内の4箇所に原皮専用冷凍庫を配備しました。これにより、収集した獣皮を高品質な状態で長期間保管することが可能となり、急速な流通システムの整備が進められました。今後、千葉県内の獣皮の活用率を100%にすることを目指す中で、チバレザーなどの地域ブランドが展開されることによって、地域の素材の付加価値を高めることが期待されています。
新たな地域ブランドと雇用創出
プロジェクトにより、高品質な獣皮を活用することで新しい製品が次々と生まれ、地域産業が活性化される見込みです。「土に還る革」として知られるチバレザーも、地域資源を活かした製品の一つです。このように、地域の課題を革新的な資源として再定義することで、新たな雇用の創出が期待されています。
シシノメラボは地域内の専門家、職人、企業と連携し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進しています。このモデルが千葉から全国へと広がることで、全国各地の有害鳥獣問題や廃棄物処理の課題を同時に解決する可能性があります。
循環型社会の実現に向けて
シシノメラボは「持続可能な社会を築く」という理念のもと、無駄にされる資源を循環させる取り組みを続けており、その事例として千葉県の事情を全国に伝えていくことを目指しています。これにより、獣害を地域の「財」に転換する新たなモデルを確立し、未来へとつなげる活動を続けています。
千葉県から始まるこの新しいモデルは、地域の問題を解決しつつ、持続可能な社会の実現に向けて大きな一歩となることでしょう。今後の展開に注目が集まります。