姫路市における友達AI「ヒメちゃん」の導入
姫路市の36中学校で、約1万3000人の中学生を対象に、友達AI「ヒメちゃん」の実証実験が始まりました。この取組は、中学生がLINEを利用して気軽に相談できるAIサービスを提供し、いじめや自殺予防を目指すものです。
実施の背景
近年、子どもの自殺問題は深刻化しており、2024年には小中高校生の自殺者数が過去最多を記録しました。特に中学生の自殺者数の増加が懸念されており、その背景にはいじめや学業不振、家庭内の問題があるとされています。こうした現状を受けて、厚生労働省は「AIを活用した支援」を自殺対策基本法に盛り込むなど、AIの活用が重要視されています。姫路市での「ヒメちゃん」実証実験は、この法改正の理念に即した先駆的な試みです。
「ヒメちゃん」の特長
友達AI「ヒメちゃん」は、中学生が親しみやすいキャラクターとしてデザインされています。24時間365日、LINEを通じていつでも相談できる環境を提供。有名なキャッチフレーズや小話を交えながら、子どもたちの悩みを受け入れ、気軽に話しかけられるように設定されています。年齢的にデリケートな悩みを抱える中学生が、心理的ハードルを下げやすく工夫されています。
「ヒメちゃん」は小さな悩みから深刻な問題まで受け止めます。さらに、AIによる初期対応の後、必要に応じて専門職(心理士・社会福祉士)にバトンタッチする体制を整えています。緊急性の高いケースには、速やかに警察や児童相談所へ連絡します。
海外の成功事例
アメリカのスタートアップ「Sonnar Mental Health」は、カリフォルニア州の学校でAI相談サービスを提供し、顕著な成果を上げています。利用した生徒の40%がサービスを活用し、ウェルビーイングが80%向上、成績も2.6%改善し、不登校が25%減少する結果を出しました。このような実績は日本の教育現場にも大いに参考になります。
今後の展望
この実証実験は2025年8月29日から2026年3月(年度末まで)を予定しており、姫路市内の全36中学校が対象となります。LINEを通じて、日常の小さな悩みから社会的に深刻な問題まで幅広く相談を促進していきます。評価指標として、相談のしやすさ、利用者数、いじめ・希死念慮の早期発見件数、自己肯定感の向上率などが設定されています。
つながりAI株式会社は今後、この実証実験の成果を踏まえて、全国の自治体への導入を目指すとしています。孤独や孤立、いじめ、自殺予防など多様な課題にAI技術を活用することで、より良い社会の実現を目指しています。
つながりAI株式会社について
つながりAI株式会社は、AI技術で社会課題の解決に挑むスタートアップです。「相談業務」に生成AIを還元し、これまで手の届かなかった多くの人々を支援することを目指しています。姫路市での実証実験は、その成果が期待される注目のプロジェクトです。
本実証実験の成功が、全国的な展開につながることをでしたら、希望です。