教職員アンケートから見る早朝勤務の実態と課題を探る
2024年10月の教職員アンケート結果が公開され、全国の教育現場における早朝勤務の状況が明らかになりました。このアンケートは、高校や中学校、小学校で働く教職員を対象に実施され、全体で70件の回答を得ています。結果として、早朝勤務の問題が表面化し、教職員たちの働き方や教育環境について深刻な課題が浮かび上がっています。
アンケートの背景と実施内容
2024年10月4日から28日の間に行われたこのアンケートは、2022年に続く第2回目の実施となります。対象は、全国の一条校(小〜高等学校)の教職員であり、勤務開始時刻前に行われる業務の実態を調査しました。
勤務開始時刻前の業務の実態
アンケート結果によれば、84%の教職員が勤務開始時刻前に日常的な業務があると回答しました。最も多いのは「登校指導」で、63%がこの業務を行っているとしています。さらに、小学校では53%、中学校では44%が「校内の児童生徒指導・支援」を実施しているとのことです。また、中学校では部活動や委員会活動に関する指導に時間を割いているとする割合も44%にのぼりました。
一方、前回の調査に比べて「児童生徒の健康観察」の実施率が大幅に減少しており、39%から13%に下がっていることも目を引きます。
勤務開始時刻と児童生徒の登校時刻の関係
次に、勤務開始時刻と児童生徒の登校時刻に関する質問では、85%の教職員が「登校開始時刻が勤務開始時刻前に設定されている」と回答しました。登校完了時刻が勤務開始時刻以前に設定されているケースも多く、特に中学校では67%がこの状況に当てはまると応えています。これにより、児童生徒が実質的に教職員よりも早く登校するという矛盾が指摘されています。
早朝勤務の問題点
「事実上の勤務開始時刻が早くなっている」と回答した教職員は79%に達し、特に小学校と中学校でその傾向が顕著です。教職員からは「本来の勤務開始時間よりも早く来る必要があるのはおかしい」との声が上がっており、業務の過多が問題視されています。さらなる詳細な意見として、「職員の負担が特定の教職員に集中している」という問題も浮き彫りになりました。
教職員はどう感じているのか
このアンケートからも浮かぶのは、教育現場での勤務環境が教職員にとって過酷になっているという事実です。教職員は「勤務開始時刻前に多くの業務を強いられることがあり、児童生徒の登校と勤務開始のタイミングが合わない」と述べ、業務負担改善の必要性を訴えています。「業務量削減か授業時間の減少が求められるが、どちらも難しい」と嘆く教員の声もありました。
まとめ
全国の教職員から寄せられたアンケートにより、早朝勤務の実態が浮き彫りになりました。84%の教職員が勤務開始時刻前の業務があるとし、その理由として登校指導や課外活動の指導など多くの業務が挙げられています。さらに、教職員の勤務時刻と児童生徒の登校時刻が合わないことから、実質的な勤務開始時刻が早くなっているとの指摘もあります。このような問題が解決されない限り、教職員の働き方や教育環境が改善されることは難しいと言えそうです。今後、教職員の声を基にした制度改革が求められています。