ケラリーノ・サンドロヴィッチが演劇界で再評価される瞬間
日本の演劇界で圧倒的な存在感を誇るケラリーノ・サンドロヴィッチ(通称KERA)が、2024年度の読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞しました。彼はそのシンプルで真っ直ぐな演出スタイルと、チェーホフの戯曲を見事に現代に再構築する力量で、観客を魅了し続けています。今回の受賞は、彼が演出した『桜の園』の出来栄えに対する証です。
KERAの受賞歴とその影響
KERAは2001年から今日に至るまで、読売演劇大賞において数々の名誉ある賞を獲得してきました。「常連」として知られる彼は、その手腕にまったく衰えを見せません。第9回では『室温〜夜の音楽〜』、第14回では『ヴァージニア・ウルフなんでこわくない?』と、演出だけに留まらず作・演出の作品でも優賞を獲得しています。
彼の作品は、観客が心の奥底で感じる共鳴を生み出し、その後の演者たちにも大きな影響を与えてきました。今回の受賞を通じて、彼の作品がいかに高く評価されたかがよく分かります。
チェーホフ4大戯曲シリーズの完結
KERAは、シス・カンパニーによって展開されたチェーホフの4大戯曲シリーズ「KERA meets CHEKHOV」において、2013年の『かもめ』から2020年の『桜の園』まで一貫した演出を行いました。しかし、2020年に予定されていた『桜の園』の初日は、パンデミックによる中止を余儀なくされ、彼の壮大な計画は一時的な幕引きとなりました。
それから4年の歳月を経て、ついに『桜の園』は幕を開け、その美しい演出とともに再評価されることとなったのです。今回の上演は、これまでの全作品を一つにまとめた集大成ともいえるものであり、演出に込められたKERAの意欲が伺えます。
作品の評価と今後の展望
1月18日付の読売新聞では『桜の園』の演出に対する評価が高く、特に「笑いのくすぐり」を取り入れた演出が称賛されました。また、ロパーヒン役を演じた荒川良々が優秀男優賞を受賞したことも、作品への高い評価を裏付けています。KERAの演出が生み出した層の厚さや複雑さは、観客に深い印象を残しました。
今後、KERAはケムリ研究室の『ベイジルタウンの女神』を予定しており、2020年の公演を経て、再演の機会が訪れます。これまでの観客の期待に応える形で、さらに高い視座を持ちながら演劇の新しい世界を広げていくことでしょう。
KERAの今後の活動をチェック
今後のKERAの活動に興味がある方は、以下のリンクをご参照ください。
彼が演出の世界でどのように進化していくのか、ますます楽しみにしたいところです。