小学生が海洋学習体験、伊勢湾の魅力と課題を掘り下げる
2024年8月、三重県の伊勢を舞台に小学生たちが“子ども記者”として海の不思議を学ぶイベントが開催されました。このイベントは一般社団法人海と日本プロジェクトin三重県の主催で、19名の小学5~6年生が参加し、海洋学習体験を通じて伊勢湾の環境問題に触れました。
海の現状と課題
伊勢湾はその多様な生態系で知られていますが、近年では栄養塩の減少が深刻な問題となっています。生態系の中心となるカキの養殖業は特に影響を受けており、このイベントでは「伊勢のカキが気軽に食べられなくなる理由」についての取材が行われました。目的は、子どもたちが海の栄養塩減少問題について自身の問題として理解し、持続可能な行動を考えることです。
学びのプロセス
参加した子ども記者は、最初に座学を行った後、実際のカキ養殖現場や漁協を訪問しました。三重県水産研究所では、海の生態系についての講義を受け、カキの生態や近年の漁獲量の減少をグラフとデータで学びました。特に印象的だったのは、カキがCO2を蓄積する効果があることをしっかり理解し、今後の環境保護への取り組みを考えるきっかけとなったことです。
また、浦村漁港では子どもたちが養殖筏を見学し、漁師たちから実際の養殖方法や課題について直接聞く貴重な経験をしました。カキが育つ環境や海中の栄養の変化を目の当たりにし、海と人間がどのように関わっているかを深く感じました。さらに、海の博物館でカキの歴史について学ぶなど、充実した内容が続きました。
植物プランクトンと海の観察
2日目は植物プランクトン採取から始まりました。子どもたちは海の生物の観察のために班ごとに行動し、プランクトンを顕微鏡で観察することで、無色透明に見える海水の中に豊かな生態系が広がっていることを体感しました。さまざまな生き物が海の中でどのように生きているかを学び、特に養殖カキとの違いや食物連鎖について理解を深めました。
学習のまとめ
体験の締めくくりには、子どもたちが自らの取材成果をもとにメッセージを込めた商品パッケージを作成しました。養殖業者とのコラボで商品化することで、学んだことを社会に伝える試みです。今後はテレビ番組でもこの体験が放送される予定で、子どもたちの取り組みが広く発 信されることになります。
参加者の声
イベントに参加した子どもたちは、海の環境問題について深く考えたり、友だちとの交流を楽しんだりしながら、有意義な時間を過ごしたと話しています。また、保護者たちも子どもたちの成長を感じ、今後の環境活動についての考え方が変わったことを喜ばしく思っています。自分たちが住む地域の海について再認識し、それを未来につなげることができると感じる貴重な経験となりました。
このような学びを通じて、次世代の子どもたちが海の重要性を理解し、より良い未来へ向けた活動に興味を持つきっかけとなることを願っています。