新型マシニングセンタの登場
大陽日酸株式会社とスギノマシンがタッグを組み、新たな金属加工の未来を切り拓くマシニングセンタの開発に着手しました。この新型マシニングセンタは、金属積層造形の機能を兼ね備えており、従来の加工方法と比べて様々な利点を提供します。
装置概要
新しい装置には、大陽日酸の「3DPro® RotoTIG」専用トーチが搭載されています。このトーチは、金属を積層して形作る「ワイヤアークDED方式」を採用しており、数値制御(NC)によって精密な加工が行われます。この技術により、金属積層がしやすくなり、安全性や操作性も向上しています。
特に注目されるのは、この装置がNCの知識を持つユーザーであれば誰でも簡単に扱うことができる点です。金属造形や溶接の経験がなくとも、安心して使用できることを目指して設計されています。
3DPro® RotoTIG専用トーチの特性
「3DPro® RotoTIG」専用トーチは、独自の設計により、造形速度が早く、そのコストも抑えられています。また、従来のTIG溶接技術を応用しているため、スパッタの発生が抑制され、品質の高い金属造形が可能です。このトーチの利点は、溶加材の供給が中心軸から行われるので、方向に対する制約が少なく、全方向への積層が実現できることです。
これにより、安定した積層ビードが得られ、高品質な製品を生み出すことが可能となります。トーチ本体には、ロボットやマシニングセンタに効果的に搭載できるような設計思想が組み込まれています。
開発する装置の特長
新型マシニングセンタは、以下のような特長を備えています:
- - 自由度の高い造形:多様な形状を高効率で造形できます。
- - 工程の集約性:金属積層造形とマシニングの工程を1台で完結。
- - 省スペース化とリードタイムの短縮:設備を簡素化でき、設置スペースも削減します。
これらの特長により、ユーザーは時間とスペースの節約ができ、全ての加工をスムーズに行えるでしょう。
用語説明
ワイヤアークDED方式:エネルギー源としてアークプラズマを使用し、金属ワイヤを溶融させて造形する3Dプリンティング技術。この方式の特徴としては、他の方式よりも造形速度が速く、材料費が比較的低い点があります。
TIG溶接:タングステン電極を使用した溶接方法で、スパッタが少ないため高品質の仕上がりが期待できます。この方法の主な短所は、溶加材の供給において方向の制約があることです。
新型マシニングセンタは、金属業界に革命をもたらす可能性を秘めています。今後の展開が非常に楽しみです。