東京都が主導するデータセンター改革の取り組み
東京都の産業労働局が推進するGX関連産業創出の一環として、三菱重工業、NTTコミュニケーションズ、NECネッツエスアイの3社が共同で二相式ダイレクトチップ冷却システムの実証検証を開始しました。この取り組みは、現行の空冷式データセンターにおいて効率的に高性能化を図りつつ、省エネルギーとCO2排出削減を目指すものです。
背景
最近の生成AIの普及に伴い、高性能なプロセッサーの使用が急増しています。その結果、データセンターは膨大な電力と冷却能力を必要とし、既存のインフラでは対応が難しくなっています。特に、既設データセンターでは新しい冷却技術を導入するための設備投資の課題が浮き彫りとなっています。そこで、既存のインフラを利用して効率的に対応できる冷却方法が求められています。
二相式ダイレクトチップ冷却とは
本実証で導入する二相式ダイレクトチップ冷却は、プロセッサー上のコールドプレートに絶縁性冷媒を二相式(液体と気体)で循環させることで冷却を行うシステムです。この仕組みは水を使用しないため、万が一の冷媒漏れ時にも故障のリスクが低く、安全性を確保しています。また、高い熱効率により、プロセッサーの発熱を迅速に排出し、自律制御による電力効率の向上が期待されます。
実証の概要
実証検証は12月からNTT Comが運営する空冷式データセンターで行われ、今後、三菱重工の二相式ダイレクトチップ冷却を用いて高性能サーバーの効果的な冷却が実現されます。NECネッツエスアイは、サーバーの調達と保守性の検証を行い、データセンターの運営を支援します。これにより、既存の設備を大幅に改造することなく、高発熱なサーバーを導入する新たな道筋を作ります。
各社の役割
- - 三菱重工業: プロジェクトの統括、冷却システムの提供および実証
- - NTTコミュニケーションズ: データセンターサービスの提供
- - NECネッツエスアイ: サーバー調達、IT負荷検証、保守性の確保
今後の展望
三菱重工グループは、AIデータセンターの成長が見込まれる中で、信頼性が高く効率的な電源や冷却システムの提供を進めます。NTT Comは、二相式冷却技術の展開を通じて持続可能な社会の実現に寄与し、NECネッツエスアイは、カーボンニュートラルに貢献する次世代データセンター向けのソリューションを展開することで、地球環境の保全を目指します。
この実証を通じて、既存設備の有効活用や高性能サーバーへの対応に新たな風を吹き込むことで、今後のデータセンター運営の在り方が一変することが期待されています。