御嶽山噴火の教訓から:火山防災対策の改善状況を総務省がフォローアップ
2014年の御嶽山噴火は、多くの犠牲者を出した痛ましい災害でした。この教訓を踏まえ、翌年には活動火山対策特別措置法が改正され、ホテルやビジターセンターなど登山者等が集まる施設に対して、利用者の安全確保のための計画作成と訓練実施が義務付けられました。
総務省は、火山防災対策を一層推進するため、国と地方公共団体の取り組み状況を調査し、2022年9月に内閣府に対して勧告を行いました。今回の記事では、その後の改善状況について、総務省が発表したフォローアップ結果を基に解説していきます。
勧告に対する改善措置状況
内閣府は、総務省からの勧告を受け、以下の取り組みを進めています。
1.
火山防災協議会の周知活動強化
- 各地方公共団体等の取組事例を共有し、避難確保計画の重要性や火山防災エキスパート制度などの支援について説明を行いました。
- また、「集客施設等における噴火時等の避難確保計画作成の手引き」を紹介し、具体的な計画作成を支援しています。
2.
避難促進施設に関する取組状況の個別フォローアップ
- 内閣府が実施した避難促進施設に関する調査結果に基づき、各地方公共団体の取り組み状況を個別にフォローアップしています。
3.
火山防災訓練の実施検討支援
- 地方公共団体に対して、火山防災訓練の実施検討支援を実施し、訓練で得られた成果を踏まえて企画・運営ガイドと取組事例集を作成しました。
これらの取り組みを通して、勧告された事項に関する必要な対策が進められています。
今後の課題
火山防災対策は、常に進化していく必要があります。今回のフォローアップでは、以下の課題が明らかになりました。
- - 避難確保計画の作成・訓練の実施が、すべての施設で十分に行われているとは言い切れない状況です。特に、小規模な施設や、観光客が頻繁に訪れる施設では、対策が遅れている可能性があります。
- - 火山防災に関する情報伝達体制の強化が必要です。噴火発生時の情報伝達には、迅速性と正確性が求められます。地域住民だけでなく、観光客に対しても、分かりやすく、タイムリーな情報提供を行う必要があります。
- - 火山防災に関する意識啓発を強化する必要があります。火山防災は、行政だけでなく、地域住民や観光客一人ひとりの意識と行動によって成り立ちます。火山防災に関する知識や訓練を普及することで、災害への備えを強化する必要があります。
まとめ
総務省は、今後も火山防災対策の推進を積極的に支援していく方針です。今回のフォローアップ結果を踏まえ、関係機関と連携し、より効果的な防災対策を進めていくことが重要です。