人口減少時代の住宅選び:岐阜の工務店が提案する未来型住宅街
日本の社会問題となっている空き家問題。2024年には空き家数が約900万戸に達し、住宅総数が世帯数を上回る事態となっています。単に住宅性能を高めるだけでなく、次世代へと受け継がれる魅力的な住宅、ひいては街づくりが重要です。
そんな中、岐阜県にある小さな工務店「いがみ建築工房」は、画期的な取り組みとして、各務原市に新しい住宅街「朝日町の小さなまちなみ(仮称)」をオープンしました。従業員6名という小さな会社が、1200㎡の敷地に6軒の家を建設。単なる住宅開発ではなく、ランドスケープデザインを駆使した街づくりに挑戦しています。
朝日町の小さなまちなみの3つの魅力
このプロジェクトには、3つの大きな魅力があります。
1. 敷地境界線の撤廃と共有スペースの創出
一般的な住宅地では、隣地境界線に塀やブロックが設けられますが、このプロジェクトでは境界線をなくし、1200㎡の敷地を共有。敷地内には「コモンスペース(みんなの庭)」と「プライベートスペース(自分たちの庭)」が共存することで、広々とした開放感と、プライバシーの両立を実現しています。土地をリースホールドにすることで、境界線の概念から解放された、自由度の高い空間設計も特徴です。
2. 車の通行制限と子どもの安全確保
現代社会において、公園ですら子どもの安全が完全に保証されない状況の中、この住宅街は敷地内への車の乗り入れを制限。凸凹の砂利道を設けることで、車の速度を抑制し、子どもたちが安心して遊べる安全な環境を確保しています。車の通行は最小限に抑えられ、砂利道は「みんなの庭」の一部として活用されています。
3. 森と共存するライフスタイル
アスファルトやコンクリート舗装を避け、土が呼吸できる環境を整備。雨水は雨水タンクに蓄えられ、余剰分は地面に浸透、空池に貯水するなど、自然環境に配慮した設計となっています。将来は木々が成長し、森の中に家がたたずむような景観を目指しています。自然素材を用いた家づくりを行い、家の寿命が尽きた際には自然に還すという、循環型社会への意識も高く持っています。
いがみ建築工房の挑戦
「いくら良い素材を使い性能を求めても、家単体では数十年にわたって魅力のある家にはならない」と語る、いがみ建築工房の伊神社長。単なる住宅建設ではなく、街づくりを通して、人口減少時代の持続可能な社会モデルを提案しています。この取り組みは、日本の住宅事情や都市計画において、新たな視点を与えてくれるでしょう。
まとめ
「朝日町の小さなまちなみ」は、単なる住宅街ではなく、自然と共生し、安全で快適な暮らしを実現するための、未来志向の街づくりと言えるでしょう。この取り組みが、日本の住宅事情や都市計画に新たな風を吹き込む可能性を秘めていると考えられます。
物件の詳細
報道資料
いがみ建築工房