高高度夜間ドローンによるCO2観測の成功
2025年3月、東京都内で実現した夜間目視外飛行が注目を集めています。このプロジェクトは、合同会社ソラビジョンが中心となり、東京大学の研究プロジェクトの一環として行われました。このプロジェクトの目的は、大気中の二酸化炭素の鉛直分布を観測し、気候変動の理解を深めることです。
プロジェクトの背景
この試みは、京都に本拠を置くソラビジョンが日本初の慢性的な温室効果ガスの観測を目指して行っているもので、東京大学大気海洋研究所の今須教授が技術的監督をしています。今回は、都内の夜間での高高度ドローン飛行が行われ、その結果、二酸化炭素濃度の時系列的な変化が明らかになりました。
観測の実施
観測は、2025年3月17日から18日にかけて行われました。飛行は東京の河川敷を拠点に、DJI社製のMatrice 300 RTKドローンを使用しました。観測装置にはLeica社製のLI-840が搭載され、740メートルの高所で、大気の二酸化炭素濃度を100メートルごとに30秒間ホバリングしながら測定しました。
この高度までの飛行許可取得は非常に困難で、米軍の基地や自衛隊の航空管制があるため、事前の許可申請が欠かせませんでした。しかし、多くの関係者と調整を行うことで無事に飛行が実現しました。
航空法の壁を乗り越えて
ドローンを用いた環境計測には、様々な法律や規制が絡むため、厳格なプロセスを通す必要があります。今回は、矢野法務事務所が許可の取得を担当し、関係機関と連携して新たな飛行の可能性を開きました。このプロセスにより、今後のドローン観測がよりスムーズに行える道筋が開かれました。
成果の意義
今回の観測結果は、気候モデリングにおいて重要なデータとなります。今須教授はこの実験が将来の温暖化対策に寄与するであろうと語っています。また、井上准教授も東京都内での二酸化炭素濃度の変化がより顕著であることを明かしました。この観測を通じて、人間活動がもたらす影響を実証するデータが得られました。
今後の展望
このプロジェクトをベースに、さらに高い地点での観測を目指し、軽量で高精度なセンサーの開発とホバリング技術の向上が必要です。将来的には、都市と森林間での二酸化炭素濃度の違いをガイドラインとして温暖化対策に貢献したいと考えています。
まとめ
ソラビジョンは、今後も日本全国でドローンによる精密な環境データの収集を行い、様々な社会的課題に対応する姿勢を貫いていきます。今回の観測は、環境計測の新たな可能性を示すものとして、広く知られることが期待されています。