多国籍な視点で防災を学ぶ
2025年6月27日、兵庫大学で行われた留学生向けサマーキャンプの一環として、防災をテーマにしたメタバースワークショップが開催されました。このプログラムには、ドイツ、韓国、タイから来た18名の外国人留学生が参加し、株式会社Meta Heroesが運営するDX教育スペース「Hero Egg」にて、災害時の行動を体験しました。参加学生たちは、実際の災害に備える力を身につける貴重な時間を持つことができました。
防災メタバース「少年と犬」の挑戦
参加者たちはまず、Meta Heroesが制作した防災メタバース「少年と犬」に挑みました。このプラットフォームでは、火災、地震などの災害シーンにおいて、適切な行動を選ぶための二択問題に取り組みます。ゲームの進行中、参加者たちは楽しみながらも真剣に知識を吸収していきました。実生活で役立つ情報を得られることが、彼らの学びをより一層充実させました。
学生たちの感想も印象的です。「楽しくて創造的だった。実生活に役立つ知識を得られた」と喜びを語る声や、「ゲームで批判的思考を鍛えられるなんて素晴らしい」との意見が寄せられました。これにより、遊びと学びが融合した新しいアプローチが確認され、参加者各自が持ち帰るものが多かったようです。
多国籍チームでのグループディスカッション
ワークショップの後半では、参加者たちが得た知識を活かし、さらに深く議論を深めるためのグループワークが行われました。火災、洪水、台風、地震という4つの災害をテーマに各国ごとにチームを作り、どのように備え、行動するかを話し合います。国ごとに異なる災害意識や経験の違いが浮き彫りになり、特に印象的だったのは、ドイツでは地震が少ないため、地震に対する備えが薄いとの意見が聞かれたことです。一方、タイの留学生は洪水時の具体的な対策を共有し、それぞれの国での防災についての視点が交差しました。
このセッションは約30分間で、各チームは活発にディスカッションを行い、自分たちの防災策を5分間のプレゼンテーション形式で発表しました。発表は英語を中心に行われ、韓国語やタイ語も交えた多言語の場面が非常に活気に満ちていました。これにより、異なる価値観を持つ学生たちが協力し合い、グローバルな防災意識が育まれていく様子が見受けられました。
社会課題についてのディスカッション
後半のセッションでは、「社会課題を解決するにはどうすればよいか?」というテーマでさらに議論を深めました。参加者たちは「ジェンダー平等」、「少子高齢化」、「ホームレス問題」、「差別・バリアフリー社会」といったテーマごとにチームを構成し、それぞれの意見を出し合って課題を整理し、解決策を模索しました。
特に印象に残ったのは、日本と各国の現状を比較しながら議論する学生たちの姿です。ある学生が日本で女性管理職が少ないと指摘した一方で、自国の取り組みを挙げて解決策を提案する様子が見られました。このように、国境を越えたディスカッションが行われ、最後には各チームは自分たちの考えをまとめ、堂々と発表を行いました。
夢を描く最後のセッション
最後のセッションでは、参加者が自分たちの未来の夢を、英語や韓国語、タイ語、日本語など多様な言語で書き込んだ「夢ボード」を作成しました。この活動を通じて、学生たちは「言葉」「文化」「課題」を越えて未来を創る力を育む貴重なひとときを過ごしました。
この防災メタバースワークショップは、留学生たちが国際的な視点を持ちながら防災について真剣に考える機会となり、彼らにとってかけがえのない学びの場となったと言えます。2024年の開設を予定しているHero Eggは、今後もこのような貴重な経験を提供し、多くの人々が次の時代を切り拓くための「ヒーロー」になれる場所として期待されています。