欧州のはしか急増
2025-03-14 10:48:57

欧州・中央アジアにおけるはしか感染激増とその対策について

欧州・中央アジアにおけるはしかの急増



2024年に入り、欧州と中央アジアでのはしかの症例数が、過去25年間で最も多い12万7,350件に達したとの報告がありました。これは、2023年の2倍の数値であり、ユニセフ(国連児童基金)と世界保健機関(WHO)は、その緊急性を訴えています。

この地域では、53ヵ国の中で報告されている症例の40%以上が5歳未満の子供たちによるものであり、症例の半分以上は入院を必要としています。2024年3月の時点で、38人の命がはしかによって奪われたというデータもあります。

はしかの背景と過去のデータ



はしかは、1997年には21万6,000件に達した後、減少傾向にありましたが、2018年と2019年には再び急増しました。新型コロナウイルスのパンデミックによる予防接種率の低下が、2023年と2024年の感染爆発に寄与していると考えられています。多くの国で、予防接種率はまだパンデミック前の水準には戻っていません。

2024年にはこの地域が世界全体のはしか症例の3分の1を占めており、約50万人の子どもが定期的な麻しんワクチン接種を逃しているという状況が報告されています。ユニセフの欧州・中央アジア地域事務所代表、レジーナ・デ・ドミニチス氏は、「急増するはしかの症例は、予防接種率の問題を浮き彫りにしている」と強調しています。

はしかの影響とリスク



はしかを引き起こす麻しんウイルスは、非常に感染力が強いことで知られています。肺炎や脳炎、脱水症状などの深刻な合併症を引き起こし、時には命に関わる事態を招くこともあります。また、このウイルスは免疫システムを損なう可能性もあり、結果的に他の病気に対する抵抗力が低下することがあります。したがって、予防接種は最も効果的な防御手段だとされています。

特にボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロ、北マケドニア、ルーマニアでは、接種対象となる子どものうち、麻しん含有ワクチン1回目(MCV1)の接種率が80%を下回っており、これは集団免疫を維持するために必要な95%を大きく下回っています。

今後の取り組みと課題



ユニセフと各国政府は、保健スタッフの研修や予防接種プログラムの強化に取り組んでおり、コミュニティとの連携を図るなどして、感染拡大の防止に努めています。集団予防接種の実施や、ワクチンを躊躇している保護者への働きかけが特に重要とされています。

また、ワクチン未接種者の集団感染を防ぐためには、国が免疫の課題を特定し、問題解決に向けた強力な保健医療体制を維持することが求められています。特に、ワクチンに対する信頼を築くことが、今後の健康教育において重要な役割を果たすでしょう。

ユニセフは、地域コミュニティと協力して、さまざまな支援を行い、はしかの流行防止に努めると共に、国境を超えた感染の脅威に対し、警戒を続けています。今後も各国が協力し、はしかの脅威から子どもたちを守るための努力を続けていくことが重要です。


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会社情報

会社名
公益財団法人日本ユニセフ協会
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東京都港区高輪4-6-12ユニセフハウス
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03-5789-2016

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