千葉県木更津高専が贈る高度な情報セキュリティ演習の詳細

情報セキュリティ演習Ⅱが開講

千葉県の木更津工業高等専門学校では、令和7年8月19日から21日、9月2日から4日の6日間にわたり、「情報セキュリティ演習Ⅱ」が実施されました。これは、高専間の単位互換科目として、香川大学創造工学部と情報セキュリティ大学院大学の教員が集まり、高度な専門知識と実践的な演習を提供する内容となっています。

授業の目的と構成

この授業の主な目標は、サイバーセキュリティ分野における実践的なスキルの習得です。現役のセキュリティエンジニアを講師に迎えたことで、学生たちは実際の攻撃や防御のシナリオを通じて、サイバーセキュリティの重要性を体感しました。演習内容には、オープンソース情報収集（OSINT）や、Red TeamおよびBlue Teamの演習などが含まれ、チームでの協力や課題解決能力の向上が図られました。

後半には、マルウェア解析やAIを用いた脅威検出、心理学的アプローチといった専門的な内容も扱われ、理論と実践を融合させた形式での授業が展開されました。

講義スケジュール

授業は、以下のようにスケジュールされています。各回の担当講師には、情報セキュリティの最前線で活躍する専門家が名を連ねています。

- 第1回（8/19）: オリエンテーション

担当: 中田亮太郎（木更津高専特命准教授）、米村恵一（本校教授）

- 第2回〜第4回（8/20）: OSINT演習／Red Team演習

担当: 中山幸郎（情報セキュリティ大学院大学客員講師）

- 第5回〜第7回（8/21）: Blue Team演習

担当: 門口雅志（木更津高専／情報セキュリティ大学院大学OB）

- 第8回〜第9回（オンデマンド）: サイバーセキュリティと法律

担当: 村上康二郎（情報セキュリティ大学院大学教授）

- 第10回〜第11回（9/2）: マルウェアデータサイエンス

担当: 喜田弘司（香川大学創造工学部教授）

- 第12回〜第13回（9/3）: サイバーセキュリティと心理学

担当: 稲葉緑（情報セキュリティ大学院大学教授）

- 第14回〜第15回（9/4）: 情報セキュリティとAI

担当: 大塚玲（情報セキュリティ大学院大学教授）

参加状況と学びの反響

今年は、木更津高専から42名、他の高専から73名の学生が参加し、合計115名が受講しました。授業は対面とオンラインを融合したハイブリッド形式で行われ、全国の高専生が一堂に会して知識を深め合う貴重な場となりました。

学生たちからは、以下のような感想が寄せられました。

- 「新たな世界を知り、実践を通じて楽しく学べた。」
- 「専門用語が難解でも、実際に手を動かすことで理解が進んだ。」
- 「CTFの演習がとても楽しく、達成感があった。」
- 「攻撃者視点の重要性を痛感した。」

これらの声からも、実践的な学びがいかに価値のあるものであったかが伺えます。特に、法制度を理解しなければ不正行為につながる危険性があるといった気づきは、今後のセキュリティに対する意識を高めるものとなったようです。

今後の展望

この取り組みは、木更津高専が運営する「KOSENサイバーセキュリティ教育推進センター」の一環として位置づけられています。今後は、この座学が高専間の連携を促進し、サイバーセキュリティ教育の中核を担う授業としてさらなる発展が期待されています。木更津高専は、これを通じて、未来のサイバーエンジニアを育成し、社会に貢献できる人材の育成を目指します。