ハイブリッド給湯器の新たな可能性を探る
株式会社エナリスとリンナイ株式会社は、ハイブリッド給湯・暖房システム「ECO ONE」の DRready実証実験を2025年2月から行うことを発表しました。このプロジェクトは、再生可能エネルギーの主力化に向けた重要なステップとされています。
プロジェクトの背景
近年、家庭用の再生可能エネルギーの普及が進む中で、電力需給調整が重要課題となっています。特に、電力消費のピーク時には電力供給が不安定になるため、デマンドレスポンス(DR)の重要性が増しています。家庭における低圧リソースとして、家庭用蓄電池やヒートポンプ給湯器、電気自動車の活用が期待されており、これらを連携させた新たな管理システムの構築が求められています。
実証の目的
エナリスは、過去7年間にわたり経済産業省のバーチャルパワープラント(VPP)プロジェクトに参画しており、幅広いリソースを活用した実証を重ねてきました。今回の実証では、エナリスが持つアグリゲーション技術を活用し、ハイブリッド給湯器の可能性を最大限に引き出すことを目指します。この取り組みは、社会インフラとしての役割を果たし、最終的には脱炭素社会へと向かう道を切り拓くことにつながります。
一方、リンナイは2030年に年間販売30万台を目標にし、カーボンニュートラルを目指しています。DRreadyへの対応を進めることでハイブリッド給湯器が需給調整市場の一翼を担えるよう、仕組みや条件についての検討を行います。
ハイブリッド給湯器の特徴とDRの可能性
ハイブリッド給湯器ECO ONEは、電気ヒートポンプとガス給湯器を組み合わせた新しい家庭用システムです。通常時はヒートポンプによって大気中の熱を利用して必要な量のお湯を貯め、湯切れが生じた場合はガス補助熱源機に切り替えることができます。このため、「上げDR」つまり電力が余剰な時間帯に積極的にお湯を沸かすことで電力消費を増やし、「下げDR」で需給が厳しくなる時間帯では供給を控えることが可能です。この特性によって、高効率で電力需給調整を行えるチャンスが広がります。
実証の具体的な内容
実証は2025年2月から始まり、2026年1月にかけて行われます。対象とするリソースは、最大100台のハイブリッド給湯器ECO ONEと、模擬で使う家庭用蓄電池約100台です。実証エリアは本州(北海道、沖縄を除く)で、エナリスの分散型エネルギーリソースマネジメントシステム(DERMS)を通じて、ハイブリッド給湯器の群制御を行います。
今後の展望
エナリスとリンナイは、今回の実証によりハイブリッド給湯器を含む低圧リソースの市場活用を探求し、再エネの推進と持続可能な社会の実現に寄与することを目指しています。今後の進展に注目が集まります。