将来宇宙輸送システム、国内エンジン開発へ転換
将来宇宙輸送システム株式会社(ISC)は、米国でのASCA 1.0ミッションを中止する決定を下し、国内でのロケットエンジン開発に注力することを発表しました。この新たな方針は、2027年度中にロケット打上げ実証を行うという明確な目標に向けたものです。
ISCは「毎日、人や貨物が届けられる世界。そんな当たり前を宇宙でも。」と掲げ、宇宙往還を実現するための輸送システムを目指すスタートアップ企業です。
米国での計画を中止
もともとISCは米国での離着陸試験を計画し、米国連邦航空局(FAA)からの許可申請を進めていました。しかし、2026年3月までに許可を得て飛行試験を行うことは極めて困難であると判断し、米国での試験計画を中止しました。この決定は、米国政府の業務停止や許可申請の遅延が影響したものです。
支援を求めていたUrsa Major Technologies(UM社)との連携も含め、米国での事業展開は不確実なものとなりましたが、その過程で得たノウハウや技術的な成果は今後の日本国内での開発に活かされる見込みです。
国内エンジン開発の進展
一方で、国内でのエンジン開発は順調に進捗しており、液体メタン燃料を使用したロケットエンジンの開発に一定の成果が見られています。また、荏原製作所との連携を通じて、電動ターボポンプの実試験も無事に完了しました。これにより、地域におけるロケットエンジンの開発における技術力を一層高める基盤が整っています。
ISCは、技術開発の深化を図るため、旭化成との協力をも進め、滋賀県高島市の設備を利用した試験を行う体制も確立しました。これにより、高頻度のテストが実現し、研究・開発の効率が向上しています。
今後の展望
今後、ISCは国内での開発を推進し、2028年3月までに北海道スペースポート(HOSPO)での人工衛星打上げ実証を実施することを目指します。自社開発のロケットエンジンを用いて、さらなる技術革新を加速させる考えです。
再使用型ロケットシステム「ASCA 1」の実現に向け、主要なパートナーシップの構築も進め、地域および国際的な宇宙輸送市場に貢献することを目指しています。これにより、宇宙の利用がより身近なものとなるでしょう。
ISCの挑戦は続きます。米国での計画中止は新的なスタートであり、国内における革新を促す重要な一歩となるはずです。私たちの未来の宇宙輸送システムを期待し、応援していきましょう。