阪神甲子園球場と国産SAFの新たな取り組み
阪神電気鉄道株式会社と合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYは、阪神甲子園球場で使用された廃食用油を国内で生産する持続可能な航空燃料、SAF(Sustainable Aviation Fuel)に転換する新たな合意を締結しました。この取り組みは2025年3月1日から開始される予定で、阪神甲子園球場の「KOSHIEN “eco” Challenge」の一環として、環境保全と気候変動対策に貢献することを目指しています。
合意に至る背景
北海道から沖縄まで、食品業界では廃食用油の再利用がますます重要視されていますが、阪神甲子園球場での取り組みは特に意義があります。この基本合意書は、プロ野球本拠地球場での初の試みであり、環境保護への強いメッセージを伝えるものです。
また、SAFFAIRE SKY ENERGYは、堺市に建設中のSAF製造プラントにて、引き取った廃食用油を原料として約3万キロリットルのSAFを生産することを目指しています。この新しい試みは、世界がカーボンニュートラルに向け活動を進める中、重要な一歩となるでしょう。
KOSHIEN“eco” Challengeの取り組み
阪神甲子園球場は、環境保全をテーマにしたプロジェクト「KOSHIEN “eco” Challenge」を2021年に立ち上げ、廃棄物削減やリサイクルの促進に注力しています。このプロジェクトの一環として、プラ製カップなどのリサイクル製品の拡充が進められ、環境に配慮したスタジアム作りが行われています。阪神は、「環境にやさしい球場」としての評価を高め、地域社会への貢献を強化していく方針です。
SAFの重要性
SAFは、従来の航空燃料に比べてCO2排出量を大幅に削減できる点が大きな特徴です。特に、自動車のように代替燃料に置き換えにくい航空機にとって、SAFの利用は持続可能なエネルギー供給の鍵を握っています。2022年のデータによると、日本では航空会社が使用する燃料の10%を2030年までにSAFに切り替える目標が掲げられています。これに向けて、国産のSAF原料である廃食用油の安定供給が課題とされています。
一方で、国内で発生する廃食用油の中には年間約10万トンもが海外に輸出されています。この状況は、国内SAF製造のための重要な原料が流出する原因ともなっており、誤った選択がもたらす環境負荷を考慮する必要があります。
未来への展望
今回の合意は、企業の持続可能な取り組みが地域社会にも好影響を与える事例となり得ます。阪神グループは「“たいせつ”がギュッと。」をスローガンに掲げる中、環境を守るためのさまざまなアクションを提供し続けています。新たに始まるSAF製造の取り組みを通じて、企業が果たすべき役割を果たしていく様子が期待されています。
最後に
このように、阪神甲子園球場とSAFFAIRE SKY ENERGYの提携はエコに対する新たな視点を提供し、未来の持続可能な航空業界に向けた重要なステップと言えるでしょう。私たち一人ひとりが環境を考えるきっかけとなると同時に、社会全体の意識変革へつながる可能性を秘めています。