上海と大阪の文化的交流が生まれた「石庫門の新生」
2025年8月29日、上海と大阪を結ぶ重要な文化イベントが開催されました。「2025上海石庫門都市更新フォーラム成果展即ち『石庫門の新生』大阪・関西万博記念版刊行式」が、日本大阪・関西万博国際機関館で大成功を収めました。このフォーラムは、上海の都市更新の進展や文化の継承に関する成果を展示し、中日両国間で持続可能な都市発展の経験を共有することを目指しています。
フォーラムは、福岡アジア都市研究所の主任研究員であり、アジア都市景観賞事務局の元局長である唐寅氏が司会を務めました。上海世界都市デー事務協調センターの主任、成鍵氏はビデオメッセージを通じて挨拶し、世界都市デーが都市間の交流を促進するプラットフォームであることを強調しました。彼はさらに、1974年に友好都市提携を結んだ上海と大阪の歴史的な協力を回顧し、両都市が持つ文化の独自性を称賛しました。
大阪市計画調整局の部長、荒木敏氏も参加し、都市更新における上海の先進的な取り組みに感謝の意を表しました。特に、石庫門建築の歴史的な保護と活性化に成功した成果について語り、大阪市も同様の課題に直面していることから、上海の事例を参考にしながら協力を深めたいと期待を寄せました。
イベントは、各種スピーチや贈呈式で構成されました。中国工程院の院士であり、2010年上海万博の総合プランナーである呉志強氏は、石庫門の文化的な意義を説き、「都市文明の遺伝子」の概念を提示しました。彼は石庫門の更新が単なる空間の改造ではなく、都市文明の継承と革新に寄与するものであると指摘しました。また、『石庫門の新生』という書籍を「都市の成長日記」と表現し、その内容が上海の都市更新における探求を真摯に記録していることを評価しました。
さらに、九州大学の坂井猛教授も挨拶を行い、大阪万博が平和や持続可能な発展を考える重要な機会であると強調しました。石庫門が代表するのは建築形態だけではなく、生活文化や地域コミュニティの記憶であり、その更新はアジア都市の独自の知恵を示すものだと語りました。
『石庫門の新生』の日本語版の発表も行われ、書籍は2024年8月に上海ブックフェアで初公開される予定です。この日本語版は、国際的な読者に海派文化を広め、中日間の都市更新に関する相互学習を促進する目的があります。そのほか、海派工筆画派の創始者、馮彬氏が石庫門をテーマにした工筆磁器板画を展示し、伝統藝術と都市文化の融合を表現しました。
このイベントは、ただの国際文化交流ではなく、上海石庫門都市更新フォーラムの5周年を記念する重要な場でもありました。中日両国が持続可能な都市発展と歴史的文化遺産の保護に対する新たな絆を結ぶことが期待されています。参加者は、石庫門の更新事例がアジアや世界にとってのモデルとなり、今後も相互学習を強化し、文化的な深みを持つ都市を共に目指す必要性に合意しました。
上海市欧米同学会やアジア人居環境協会などの機関も参加し、メディアからも注目されました。