全国旅行支援の影響と宿泊業界の現状分析
最近、全国旅行支援の見直しに伴い、宿泊予約の減少が顕著になっています。特に北海道内の宿泊施設を対象にした調査を行った結果、多くの宿泊施設が直面している課題が明らかになりました。
集客状況の悪化
調査によると、約61%の宿泊施設が「集客に困っている」と回答しており、これは前月から29ポイントも増加したことから、相当な深刻さを示しています。閑散期の影響に加え、1月10日から再開された全国旅行支援(北海道ではHOKKAIDO LOVE!割)の割引率やクーポン券の額が引き下げられたことが、特に大きな要因とされています。また、地方自治体の独自施策「ふっこう割」の終了も重なり、予約が困難な状況が続いています。たとえ札幌で雪まつりが開催され、観光需要が少し上がったとしても、その効果は全体には限定的なものです。
コストの上昇について
冬場における光熱費の値上がりも宿泊業界に深刻な影響を及ぼしています。一部施設では価格転嫁が進められていますが、依然として不十分との声があり、さらに2023年4月からの電力料金引き上げも視野に入っているため、コスト圧迫は続く見込みです。これにより、国内客の予約が減少し、値下げを余儀なくされる宿泊施設が増えてきています。
人手不足と賃金の上昇
ほとんどの施設が人手不足に苦しみ、採用活動も苦戦を強いられています。特に、利用者増加が見込まれる大型連休に向けて、さらなる競争が激しくなるとの予測があります。加えて、道内のアルバイトやパートタイムの時給も上昇傾向にあり、中規模ホテルでのコスト増加が経営に影響を及ぼす可能性も指摘されています。
今後の展望
株式会社リアラでは、今後の宿泊業界の動向について考察を行いました。雪まつりが3年ぶりに再開した札幌では、インバウンド客が徐々に増加している兆しがありますが、地方都市では依然として厳しい状況が続いています。今後、東京や大阪などの主要都市から回復が進むことが予想される一方で、地方では回復が難しいと考えられます。
政府の施策と観光の未来
日本政府は、2023年3月からマスク着用のルールを緩和し、5月には新型コロナを5類感染症に分類する方針を示しています。これにより、国内観光客向けの割引施策から、訪日外国人旅行者を重点的に誘致する方向へとシフトすることが期待されます。北海道の外客誘致が今後の課題となるでしょう。
競争力を保つために
宿泊業界が生き残るためには、価格戦略だけでなく、効果的なマーケティング投資や競争力のあるサービスの提供が求められます。特に、ブランド力や立地条件を改善することが重要であり、そのための投資が必要とされています。
全体として、宿泊業界は今後1年で大きな変革の時期を迎えています。外部情報を収集し、新しい取り組みを駆使することで、真の復興を目指す必要があります。特に、現状を打開するための時間が迫ってきていると考えられます。
統計概要
- - 調査期間: 2023年1月1日~31日
- - 調査方法: 電話法による無作為抽出
- - 調査対象: 北海道の宿泊施設(10部屋以上)
- - 調査数: 220件
会社概要
- - 社名: 株式会社リアラ
- - 所在地: 札幌市豊平区月寒西4条5丁目2-10
- - 代表者: 伊東 義史
- - 事業内容: 観光コンサルティング、デジタル化推進