AI時代における人事・組織の実態調査
調査背景
株式会社コーナーは、「AI時代における人事・組織の実態調査」と題した最新の調査を実施しました。この調査は、企業に勤める人事担当者を対象としており、合計259名の回答を得ています。調査内容は、個人と組織のAI活用状況、業務におけるAIの影響、さらに活用が進まない原因について多角的に分析されています。2025年に向けて、AIの利用が普及する一方で、組織の仕組みとして定着するまではまだ時間がかかるという現状が浮かび上がりました。
調査結果の要点
1. 個人と組織のAI活用状況の違い
調査によると、個人や部門単位でのAI活用は進んでいるものの、業務プロセスや意思決定に組み込まれているケースは少数派であることが明らかになりました。具体的には、個人でほぼ毎日AIを利用している割合は68.2%に達していますが、組織全体としては34.5%のみにとどまるという状況です。特に、AIを活用する上での主導部門としてDX部門や情報システム部門が存在するものの、明確な主導部門を持たない企業も一定数いることが調査からわかりました。
2. AI活用の障害
AI活用が根付かない理由として、従業員のリテラシー不足や業務・組織設計の不備が挙げられています。特に、約48.1%の回答者がリテラシー不足を指摘しており、これは明らかに業務プロセスに伴ったユースケースの設計が進んでいないことが主な要因です。さらには、組織全体でのAI活用が進んでいないために、経営層と現場の間に大きな温度差があることも新たな問題として浮上しています。これにより、AI導入の目的が曖昧なまま進行してしまう事例が多発しています。
3. 人事部門の特異性
人事部門にフォーカスした結果も興味深いものでした。人事業務でのAI活用は個人単位で進展しているものの、業務プロセスに組み込まれている状態はわずか10%未満という現実が示されています。また、61.1%の企業が人事部門においてAI活用を担う体制を持っていないことが判明しました。このような体制の欠如は、組織全体でのAI活用を妨げる要因となっています。
今後の展望
コーナーの代表取締役である門馬貴裕氏は、調査の結果を踏まえ、「AIをどう使うか」を模索する現段階で重要なのは、単にツールを導入することではなく、AIを前提にした業務や組織の設計を見直すことだと強調しています。次のステップとしては、業務プロセスや評価制度の革新が必要であり、多くの企業がこの領域に着手できていない背景には、スキル不足だけでなく、組織的な課題が横たわっています。
私たちの調査は、AI活用が既に多くの企業で進行している一方で、組織的な変革にはまだ多くの障害があること示しています。今後、AIの導入が進む中で、どのように各組織がこの新たな技術を体系的かつ効果的に活用できるかが鍵になってくるでしょう。
結論
AIの活用が進む中で組織の変革がスムーズに行えるよう、具体的な施策や戦略が必要です。時代に即した人事・組織のあり方へのソリューションを考えることが重要です。人事コンサルタントとしての役割を強化し、企業の成長を後押しする手助けをしていきます。