企業の災害時行動力の現状を点数化
三井不動産グループのアンドレジリエンス株式会社が提供する「災害時行動力の見える化ツール」は、企業のビジネスパーソンの災害時行動を評価し、行動力を数値化する革新的な取り組みです。このツールを通じて、2023年1月以降に約2万人以上が参加し、企業の災害時の対応力に関する重要なデータが収集されました。
平均点はわずか46.8点
2024年7月現在、このツールでの評価結果によると、日本の企業で働くビジネスパーソンの災害時行動力の平均点は46.8点であり、これは人命安全確保が十分に行われていないことを示しています。この低い評価は、準備不足の状態を物語っており、特に「初心者」レベルにあたる人々が多いことがわかりました。「初心者」レベルでは、災害発生時に混乱に陥り、必要な対応ができないことが判定されています。
BCP策定の有無にかかわらず
興味深いことに、BCP(事業継続計画)の有無による行動力の差が見られませんでした。当社が収集したデータによれば、BCPを策定している企業での平均点は47.9点で、未策定の企業は47.7点という結果でした。これらはほとんど差がないため、BCPが実効性を持たない状況が浮き彫りになっています。
人命安全確保に直結する行動の低い回答率
さらに、災害発生後に取るべき行動の具体的な項目について調査したところ、「避難誘導」や「応急救護の実施」といった人命安全確保に直結する項目の回答率は39%と4割を切る結果でした。これらの行動は多くの企業で規定されているものの、実際にそれを意識できていない事態が明らかとなりました。
実効的な対策が求められる
したがって、今後の災害時の行動力強化には、いくつかのポイントが重要です。まず、過去の大規模災害を体験した社員が存在し、その体験を社内で共有することが挙げられます。また、経営者が災害対策を重要課題として認識し、全社員の参加を促す姿勢も必要です。さらに、実践的な訓練を設けて、形式的なイベントで終わらせず、具体的な改善を重ねるサイクルを構築することが求められています。
自助力の強化が重要
この中で、自助力を強化するためには、災害体験の共有が必要です。社員一人ひとりが災害を「自分ごと」として認識できるような取り組みを進めることが、災害時行動力の向上に繋がります。
災害時の対応は、ただBCPを策定するだけではなく、一人ひとりがどう行動するかが非常に重要です。本ツールを通じて、企業と従業員がその意識を高め、必要な行動を身につけることが期待されます。