経済界に新たな風!営農型ペロブスカイト太陽電池の実証実験が始動
2024年8月2日、千葉県匝瑳市で、積水化学工業株式会社と株式会社TERRAの2社による共同実証実験が国内で初めて行われました。この実験は、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を使った営農型太陽光発電、いわゆるソーラーシェアリングを対象にしています。
背景と意義
近年、気候変動問題は世界的な課題となっており、2050年には脱炭素社会の実現が求められています。ここで注目されているのが、フィルム型ペロブスカイト太陽電池です。この技術は、軽量で柔軟性が高いため、これまでのシリコン系太陽電池では設置が難しかった場所でも導入が可能になります。再生可能エネルギーの導入量を増やす手段として、非常に期待されています。
積水化学は、独自の技術を用いて屋外耐久性を高め、30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを確立しました。現段階では、発電効率15.0%を達成し、さらなる発展が期待されています。TERRAは、営農型太陽光発電に特化した事業を展開しながら、SDGsやカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを行っています。
実証実験の詳細
実証実験は、千葉県匝瑳市の飯塚地域で行われ、主に以下の3つの内容が検証されます。
1.
フィルム型ペロブスカイト太陽電池の設置方法の確立
既存の営農型太陽光発電システムでは、重量による構造上の課題がありました。今回の実証では軽量なペロブスカイト太陽電池を活用し、施工方法や架台の設計を見直します。
2.
発電効率の測定
レンズ型モジュールを使用し、曲面での発電効率を測定します。予測値と実測値の比較を通じて、技術の信頼性を確認します。
3.
農作物への影響調査
実験中に、営農型太陽光発電設備下で栽培される農作物の成長環境に与える影響を調査し、最適な栽培条件を模索します。
今後の展望
この実証実験は、営農型太陽光発電の導入手法の確立を目指しており、全国の農地での展開が計画されています。特に遊休農地や耕作放棄地へのペロブスカイト太陽電池の適用も進めることで、脱炭素社会の実現に寄与することが期待されます。さらに、環境問題に配慮した「ソーラービール」など、新しい形態の6次化事業にも取り組んでいます。
結論
積水化学とTERRAによる共同実証実験は、再生可能エネルギーの導入拡大に向けた重要なステップです。ペロブスカイト太陽電池の技術革新が、農業と環境保護の両立に向けた道を切り開くことを期待しています。これからの動向に注目です。