新たな植物由来の保湿剤、硫酸化ヘミセルロースの実力
順天堂大学大学院医学研究科環境医学研究所と王子ホールディングス及び王子ファーマによる共同研究が、乾燥肌の改善に向けた新しい可能性を示唆しています。この研究で注目を集めているのは、木質資源由来の硫酸化ヘミセルロース(開発コード:OJI-204)。
研究の背景
乾燥肌は多くの人々が直面する悩みであり、それに伴うかゆみは患者の日常生活に大きな影響を与えます。従来、ヘパリン類似物質が保湿に用いられてきましたが、多くは動物由来であり、感染症や倫理的な問題が懸念されています。そこで、より安全かつ環境にも配慮した植物由来の材料が求められています。
OJI-204の特徴
OJI-204は硫酸化ヘミセルロースに属し、多糖類の一種で、抗凝固作用や抗炎症作用があることが知られています。この特性に着目し、研究チームは乾燥肌モデルマウスを用いてその効果を検証しました。
研究成果の概要
7日間の研究プロセスの中で、OJI-204を含むグループは顕著に乾燥度合いが改善され、その結果、自発的かゆみ行動や機械的かゆみ過敏度が著しく軽減されました。また、テストされた他のグループに比べて、OJI-204群はバリア機能を改善し、保湿効果を示しました。特に、OJI-204の施用により、自発的かゆみが顕著に減少したという結果が得られました。
研究の意義
この発見は、植物由来の硫酸化ヘミセルロースが有望な保湿剤となり得ることを示しています。研究チームは、この物質がヘパリン類似物質の代替品として、将来的に臨床応用される可能性があると述べています。特に、OJI-204は環境負荷の軽減にも寄与することが期待されており、現在の動物由来の物質に対する明確な代替手段となり得るのです。
今後の展望
OJI-204の臨床研究や製品化が進むことで、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患に対して新たな治療薬として利用される可能性があります。