建設業界は、長年の課題である人手不足に加え、危険を伴う作業環境という厳しい現実に直面しています。こうした状況を打破し、安全かつ効率的な現場を実現するために、デジタル技術を活用した変革、すなわち「建設DX」への期待が日々高まっています。まさにその最前線で、革新的な動きが始まりました。
総合建設機械レンタル大手のアクティオが開発した「重機遠隔操作システム」に、東京大学稲見研究室発のスタートアップである株式会社ジザイエ(以下、ジザイエ)の最先端技術が採用されたのです。このシステムは、遠く離れた場所からでもバックホーやキャリアダンプといった重機を、まるでその場にいるかのようにリアルタイムで操作することを可能にする画期的なものです。ジザイエは、その心臓部ともいえる高精度映像伝送技術を提供し、システムの実現に不可欠な役割を担っています。
なぜ、ジザイエの技術が選ばれたのでしょうか。建設現場、特に災害対応エリアや通信環境が不安定な場所では、映像の遅延や画質の劣化は、操作ミスや事故に直結する深刻な問題です。アクティオのシステムは、こうした過酷な環境下でも安定した操作を可能にする映像伝送基盤を求めていました。そこで評価されたのが、ジザイエが誇る「超低遅延」「高圧縮」「高画質」という三拍子揃ったリアルタイム映像伝送技術です。この独自の技術は、限られた通信帯域の中でも鮮明で途切れない映像を瞬時に送ることを可能にし、オペレーターが手元の操作席から現場の状況を正確に把握し、直感的に重機を操ることを実現します。
ジザイエは、自社が展開するリアルタイム遠隔就労支援プラットフォーム「JIZAIPAD」で培ってきた技術を、このアクティオのシステムに惜しみなく投入しました。具体的には、前述の映像伝送技術に加え、遠隔操作のユーザーインターフェースとの統合支援も行っています。これにより、オペレーターは現場に赴くことなく、鮮明な映像を通して重機を細やかに制御できるようになり、危険な作業からの解放、移動時間の削減、そして熟練オペレーターの経験をより多くの現場で活かせる可能性が広がります。
ジザイエの代表取締役CEO、中川純希氏は今回の採用について、「当社の技術がアクティオ様の革新的な遠隔操作システムの一翼を担えることを大変光栄に思います」とコメントしています。同氏はさらに、「“行かずに働ける”世界を実現するリアルタイム遠隔支援のインフラを構築し、建設業界はもちろん、災害復旧、インフラ整備、農業、鉱業といった現場を支えるあらゆる産業に貢献していきたい」と、今後の展望を力強く語りました。
この「重機遠隔操作システム」の進化は、ここで止まることはありません。今後は、AI(人工知能)や自動操縦といった最先端技術との融合も視野に入れ、さらなる高度化を目指します。これにより、遠隔地からより安全かつ効率的に作業を行える「未来のインフラ」として、その役割を深化させていくことでしょう。
また、今回の株式会社アクティオとの連携は、ジザイエにとって大きな一歩となります。これを皮切りに、同社は他業種・他業態との協業機会を積極的に広げ、「遠隔就労の社会実装」を加速させていく方針です。ジザイエは、「すべての人が、時空を超えて働ける世界へ」という壮大なミッションを掲げ、2022年11月の設立以来、独自の映像圧縮伝送技術を核に、通信環境が不安定な現場でも高精細・低遅延の映像伝送を実現してきました。建設、製造、インフラ、災害復旧など、物理的制約の多い現場での遠隔操作や点検を可能にし、まさに現場のデジタルトランスフォーメーションを牽引する存在として、その動向が注目されています。