食品包装材と小売りに関するISO規格の新たな挑戦
一般財団法人日本規格協会(JSA)が、食品安全に関する画期的な英・日対訳版規格を発表しました。この新規格は、2025年7月15日に発行される「ISO/FDIS 22002-4:2025食品安全に関する前提条件プログラム-第4部:食品包装材の製造」と「ISO/FDIS 22002-7:2025食品安全に関する前提条件プログラム-第7部:小売りと卸売り」という2つの重要な文書を含みます。
ISO/TS 22002シリーズの意義
ISO/TS 22002は、食品業界における重要な規格で、特に前提条件プログラム(PRP)に特化しています。HACCPの考え方を取り入れた「ISO 22000食品安全マネジメントシステム」と併用することで、食品の安全性を確保するための堅牢なフレームワークを提供します。これにより、食品の製造から供給までのさまざまな段階で、リスクを予測し、管理することが可能になります。
HACCPとは
HACCPは、食品の生産過程で発生しうる危害を分析し、それを管理するための体系です。日本では1995年から普及が始まりましたが、任意の制度だったため、広く浸透していませんでした。しかし、世界的な流れを受けて、2018年に食品衛生法が改正され、2020年にはHACCPに基づく衛生管理が定められ、ISO 22000の重要性が再認識される結果となりました。これにより、食品業界はISO 22000へとシフトしつつあります。
新しい規格の内容
「ISO/FDIS 22002-4:2025」は、食品包装材の製造に関する前提条件プログラムについて詳細に述べています。安全な食品を提供するためには、包装材の安全性も重要です。この規格は食品とその包装材の製造の両方でハザードを管理し、実施・維持するための指針を提供します。
もう一つの「ISO/FDIS 22002-7:2025」は、小売業や卸売業に焦点を当てた規格で、フードチェーン全体における食品安全ハザードの管理方法を示しています。特に、卸売業者やフードバンクを含む多様な組織でも適用可能で、これらの業界における食品安全の強化を図っています。
購入について
これらの規格は、英語で単体購入または英・日対訳版として購入可能です。A4判での提供となり、各文書は指定されたページ数で構成されています。これにより、食品業界の関係者は、日本語でも国際規格を理解しやすくなり、実務に活かすことができるでしょう。
関連書籍の紹介
ISO 22000の理解を深めるための支援として、関連書籍も提供されています。特に、「ISO 22000:2018食品安全マネジメントシステム要求事項の解説」などは、ISO 22000の改訂経緯や要求事項を詳しく解説しており、実務において役立つ情報が満載です。さらに、内部監査の実施手順を説明した書籍もあり、これらは食の安全性向上に向けた実践手法を学ぶ上でも非常に助けになります。
おわりに
食品業界の変化を受けて、ISO規格への適応はますます重要となっています。日本規格協会による新たな規格の発行は、業界の食品安全の向上に一層の弾みをつけることでしょう。これからも目が離せない分野です。