日本経済と少子化の関係を探る
パーソルキャリア株式会社が運営する『Job総研』による「2024年 日本経済の意識調査〜少子化編〜」が行われ、292人の社会人男女を対象にしたこの調査では、少子化の背後にある経済的要因が明らかになりました。調査結果は、将来子どもを持ちたいと考える人がどのような経済状況にいるか、またその希望がどの年収帯に偏っているかを映し出しています。
調査の概要と目的
この調査は2024年9月に行われ、全国の男女20代から50代までの方々を対象にしました。主な目的は、現在の収入状況が出産や子育てに対する意識にどのように影響を与えているのか、そして少子化に対する国民の意識を探ることでした。調査の結果、65.4%の人が将来の子どもを考えていると回答し、年収別では800万円以上の人々が最も多いことがわかりました。
年収800万円以上の人々の子ども希望
調査によると、年収800万円以上の人々は、将来子どもを持ちたいと考える割合が特に高く、80.4%を占めています。これは、600万円から800万円未満の層にも強い影響を与えていることを示しています。これに対し、年収200万円未満の回答者では、希望を持つ割合が44.8%と大きく減少しています。
現収入での出産・子育てに関する意見
また、現収入で出産や子育てが可能かと問うたところ、56.9%が「考えられる」と答えました。特に、年収800万円以上の人々においては、91.1%が「考えられる」と回答し、この層が最も楽観的であることが分かりました。しかし、全体の85.6%が経済的不安を抱えていることも見逃せません。「学費・教育費」や「家族の生活費」が不安の上位に挙げられています。
学費の心配とその背後
子育てに必要な最低限の収入額は平均831.7万円とされ、この額は家庭における教育投資の現実を示しています。現収入での学費や教育費の支払いに自信がないと答えた回答者は64.1%に及び、特に800万円未満の年収層がこの不安を強く感じていることが分かりました。
経済と景気がもたらす少子化への影響
経済状態が少子化に与える影響については、95.9%の人々が「影響している」と感じており、「収入が上がらないこと」が最も大きな要因として挙げられています。また、「消費税や所得税の増税」や「十分な学費の確保」が不安材料として意識されています。今後の少子化がもたらす影響として、81.1%の人が「労働力不足」を懸念し、71.9%が「年金制度の維持」に関する意識を持っていることが調査によって明らかになりました。
少子化対策の必要性
国民が求める少子化対策としては、「学費の補助」や「賃上げ」が特に重要視されています。具体的には、現役世代や子育て世帯への経済的な支援を求める声が高まっており、生活費や教育費の負担を軽減するための政策が必要とされています。
調査結果は、少子化対策が政策の一環として国に期待されていることを示しています。多くの人が経済的不安を抱える中で、年収800万円以上の層は子どもを持ちたいやすい状況にあるものの、それ以外の層が直面する課題は深刻です。これからの世代に向けて、労働・生活の基盤を整備し、教育支援を強化することが急務です。
結論
「2024年 日本経済の意識調査〜少子化編〜」の結果から、経済状況が子育て希望に影響を及ぼしており、特に年収800万円以上の社会人が子どもを持ちたいと考える一方で、他の層の不安感も浮き彫りになりました。これには学費や生活費の負担軽減が不可欠です。国や地方自治体がこれらの問題に適切に対応することで、少子化対策の効果が期待できるでしょう。