ニチエツ株式会社は、最近行った総額3億円の資金調達により、自社の重量物搬送ロボティクス技術をさらに進化させることを目指しています。この調達資金は、特にプラスチック成形工場の完全自動化を目的としたAMR(自律移動ロボット)金型交換装置の開発に充てられます。
成形工場において金型交換は、熟練した作業者による慎重かつ精密な操作が求められ、労働者の安全を脅かすことに加え、生産性の低下を引き起こす要因ともなっています。さらに、近年増加している人手不足や、安全性への懸念から、業界全体で自動化技術の必要性が高まっています。そこでニチエツは、AMR金型交換装置を活用し、金型交換作業を高度に自動化するシステムを構築しています。
このシステムにより、金型の取り出しから成形機への搬送、さらに金型交換の一連のプロセスが自動化され、作業者は危険な状況から解放されます。さらに、作業の迅速化、効率化を可能にすることで、工場の生産性を大幅に向上できると期待されています。
ニチエツへの投資を行ったAbies Ventures、ケイエスピー、みずほキャピタルといった投資家たちは、今回の資金調達を通じて、成形工場の安全性向上と効率化の実現に期待を寄せています。特に、長年の課題である金型のクレーンによる搬送方法の自動化を進めることで、労働災害を未然に防ぐことができるとしています。
ニチエツの代表、中村高志氏は、成形工場の無人化を目指すAMR金型交換装置の開発を通じて、日本のモノづくり産業の競争力を維持し、さらには国際的な市場にも参入する可能性に言及しました。現在、同社は100%子会社をベトナムに持ち、ベトナム人技術者が多く在籍していることも特長です。技術者たちは実際に成形工場での経験を活かし、顧客ニーズに応える製品開発に取り組んでいます。
今後、ニチエツはAMR金型交換装置の量産を2026年までに実現させる計画であり、重量物搬送のコア技術を活かすことで、成形工場に限らず他の製造業全体の自動化・無人化を進めていく方針です。
この成形工場向けのイノベーションが市場にもたらす影響は大きく、効率の良い生産環境を作るだけでなく、労働者の安全性向上にも寄与します。従来の金型搬送の手法を一新し、今後ますます進化するロボティクス技術に注目です。