八千代エンジニヤリングとNECがインドネシアでの防災対策に乗り出す
2025年6月、八千代エンジニヤリング株式会社と日本電気株式会社(NEC)が、インドネシアにおいて適応ファイナンス領域に関する防災対策の調査業務を開始しました。この取り組みは、国土交通省が推進する「日ASEAN相互協力による海外スマートシティ支援策 Smart JAMP」に基づき、共同で提案され採択されています。
調査の概要
調査は2025年から2026年の間、現地パートナーであるSinar Mas Landと共同で実施されます。具体的には、ジャカルタ郊外のBSDシティを対象に、洪水リスクに対応する防災策の適応価値を可視化するためのフィジビリティスタディを行います。この適応価値とは、適応策を導入する前と後の予測被害額の差分を指し、これを明確にすることで防災策の効果を図ります。
調査の主な内容は、BSDシティに進出する企業や金融機関、関係省庁からのヒアリングを通じて適応価値を活用したビジネスモデルの実現可能性を評価することです。事業化に向けて、ビジネスモデルのマーケットフィットを探り、収支計画および事業化スケジュールを検討します。また、すでに導入されているスマート洪水システムを利用して、実際のデータに基づく氾濫解析や洪水シミュレーションを行う予定です。
プロジェクトの背景
NECは、2023年に開催された国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)において、適応ファイナンスの重要性を強調しました。この会議では、民間資金を適応策に流入させるための新たな金融商品の創出を目指しており、Sinar Mas Landとの戦略的パートナーシップはその一環として構築されています。これにより、持続可能な地域社会の構築に寄与することが期待されています。このような取り組みは、気候変動に関連する問題に対する対応策を講じる意義を再確認させます。
八千代エンジニヤリングとNECの役割
このプロジェクトにおける八千代エンジニヤリングの役割は、業務の報告書作成、事業化課題の検討、ビジネスモデルの検討(氾濫解析・洪水シミュレーション含む)、収支計画の検討などです。一方、NECは、ビジネスモデルの検討、被害額シミュレーション、適応価値の算出、そしてその見える化に専念します。
このプロジェクトは、実際の防災対策を通じて地域社会における気候変動の影響を軽減し、持続可能なビジネスモデルを推進する重要なステップとなります。八千代エンジニヤリングとNECがどのようにこの課題に取り組むか、今後の進展に注目が集まります。