菊水堂の破天荒なポテトチップ職人
2024年11月27日、株式会社KADOKAWAから稲田豊史による新たな著書『アゲもん 破天荒ポテトチップ職人・岩井清吉物語』が発売される。この本は埼玉県八潮市に本社を構える老舗ポテトチップメーカー、菊水堂の創設者である岩井清吉の人生を記したもので、ポテトチップスの成り立ちやその背景にある哲学を深く考察している。
菊水堂の魅力
菊水堂は創業から70年以上にわたって、手作りにこだわり続け、特にテレビ番組「マツコの知らない世界」で取り上げられた「できたてポテトチップ」でも知られる。「できたてポテトチップ」はその名の通り、鮮度にこだわり、揚げたてを提供するスタイルが人気を博している。
稲田氏は、ポテトチップスがいかにして日本の国民食となったのか、その背景を戦後大衆史の中で描き出し、岩井清吉の人物像を通じてその歴史を語る。ポテトチップスの製造や流通の変遷、そしてそれが日本人の日常にどのように根付いていったのかを掘り下げている。
破天荒の定義
また、タイトルにある「破天荒」についても触れられている。一般的には大きくて派手な行動を指す言葉として使われがちであるが、著者はそれを「誰も成し得なかったことを初めてすること」と定義し、岩井清吉がまさにそれを体現していることを伝えている。経済が大きくなる中で、小さな企業がいかにして存在感を示すか、そこがこの本の魅力でもある。
変わりゆく市場の中で
現在、日本は経済の縮小が叫ばれている中、競争はますます厳しさを増している。その中で、岩井清吉のような人々が小さな存在であり続けるための方法や、その哲学は、多くの人々にとっても示唆に富んだものと言えるだろう。この本を通じて、我々は彼の生き様から学び取ることができる。
著者情報
著者の稲田豊史は、1974年に愛知県で生まれたライター、コラムニスト、編集者であり、これまでにも数多くの著作を発表している。著書の中には『映画を早送りで観る人たち』や『ポテトチップスと日本人』などがあり、今回の『アゲもん』はその集大成とも言える一作だ。
書誌情報
- - 書名: アゲもん 破天荒ポテトチップ職人・岩井清吉物語
- - 著者: 稲田豊史
- - 発売日: 2024年11月27日(水)
- - 定価: 1,980円(本体1,800円+税)
- - ISBN: 978-4041143681
- - ページ数: 248ページ
この本が菊水堂や岩井清吉の哲学、そしてポテトチップスの魅力を伝えるきっかけとなることを期待したい。さらに、興味を持たれた方は、ぜひ手に取っていただきたい一冊である。