最近、建設現場から排出される廃プラスチックを利用した新しい取り組みが日本で実現しました。鹿島建設を中心とする4社は、廃プラスチックを工事用バリケードに再資源化するスキームを構築し、実際に建設現場へと導入しました。この取り組みによって、環境に優しい資源循環を進めることが期待されています。
廃プラスチックがバリケードに生まれ変わる
バリケードは、建設現場などで多く使われる重要な資材ですが、これまでの製造ではバージン材やプレコンシューマ材料が主に用いられていました。しかし今回の実証実験では、バリケードの30%を鹿島の建設現場から集めたポストコンシューマ材料に置き換え、リサイクルされたバリケードを5,000個製造することに成功。そのバリケードは早速、実際の建設現場で使用されています。
この取り組みは、現在のプラスチックごみの状況を考えると非常に意義深いものです。2022年4月に施行されたプラスチック資源循環促進法に基づき、プラスチックゴミのリサイクルが求められていますが、建設現場から発生する廃プラスチックの多くはこれまで焼却処分されてきました。そのため、資源の循環利用は十分に進んでいなかったのです。
共同での取り組み
この新たな取り組みは、鹿島建設以外にも株式会社八木熊、大栄環境株式会社、資源循環システムズ株式会社と連携して進められました。まず、建設現場で発生した廃プラスチックを大栄環境グループが回収し、その後選別と前処理が行われました。続いて、八木熊が洗浄や粉砕を行い、再生ペレット化を実施。この再生ペレットをポリプロピレン樹脂と混合して、リサイクルバリケードが製造されます。
その結果、これまで焼却処分されていた廃プラスチックが新たな製品へと形を変え、建設現場で再び使用されるという循環が実現したのです。この取り組みは、課題を抱えた日本のプラスチック問題に一石を投じるものです。
今後の展望
4社はこの取り組みを今後も拡大させ、廃プラスチックの効果的で効率的なリサイクルを進めていく方針です。製造コストの削減や新たな製品の開発にも取り組むことで、さらに実用性の高いリサイクルシステムの確立を目指します。
このような企業間連携による取り組みは、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現を支えるものです。資源の無駄を減らし、持続可能な社会の構築に向けた一歩として、多くの人々が注目しています。私たちの未来を創るためにも、この新たな取り組みがよい結果をもたらすことを期待しています。
例えば、鹿島環境ビジョン2050plusでは、未来を見据えた環境への取り組みが進められており、今回の取り組みもその一環として位置づけられています。環境問題に直面する中、企業がリーダシップを発揮し、持続可能な社会に貢献する姿勢が求められています。