生成AIで空調制御!三菱電機とソラコム・松尾研究所が画期的な実証実験を実施
株式会社ソラコム、株式会社松尾研究所、そして三菱電機株式会社の3社が共同で進めるプロジェクト「IoT × GenAI Lab」は、生成AIを活用した空調機器制御の実証実験を実施しました。この実験は、オフィス環境の快適性と電力消費量削減の両立を目指しており、大きな成果を上げています。
近年、ChatGPTに代表される生成AIは、ビジネスシーンでの活用が加速しています。IoT分野においても、膨大なデータ分析や多様な情報源からの洞察が期待されており、新たな可能性を切り開いています。
「IoT × GenAI Lab」は、2023年7月にソラコムと松尾研究所によって設立されました。このプロジェクトでは、IoT分野における生成AIや大規模言語モデル(LLM)の活用を推進し、顧客ニーズに基づいたユースケースの調査、概念実証(PoC)、そしてIoTサービスへの反映を目指しています。
実証実験の概要
今回の実証実験では、「部屋を最適な温度に保ちつつ、可能な限り電力消費量を削減する」という目標を掲げ、以下の取り組みを実施しました。
1.
データ収集: オフィス内外の環境データ(温度、湿度など)や、オフィス勤務者からの快適性に関するフィードバックを収集しました。
2.
生成AIによる予測: 事前学習済みの汎用的な生成AIに、収集したデータを投入し、オフィス内の空調機器の最適な温度を2時間ごとに予測しました。
3.
温度設定とモニタリング: 生成AIの予測に基づいて空調機器の設定温度を変更し、快適性と電力使用量をモニタリングしました。
4.
データフィードバック: オフィス環境の変化や、オフィス勤務者からの快適性に関するフィードバックを生成AIに入力することで、予測精度を高めました。
実証実験の結果
この実証実験では、従来のAI技術では必要だった強化学習や機械学習、ファインチューニングなどの時間とコストのかかるプロセスを省略することができました。その結果、以下の成果が得られました。
電力消費量削減: 実験期間中の平均電力使用量は、ベースラインと比較して47.92%削減されました。
快適性向上: オフィス勤務者からの快適性に関するフィードバックと生成AIが設定した温度を分析した結果、ベースラインと比較して快適性が平均26.36%向上しました。
今後の展望
今回の実証実験は、オフィス環境の快適性向上と省エネ効果の両立を実現した画期的な事例となりました。今後は、オフィス勤務者の好みに合わせた空間への誘導や、電力消費量の大きなデータセンターや工場での活用など、さらなる応用展開を目指しています。
2024年7月17日に開催される「SORACOM Discovery2024」では、三菱電機株式会社が基調講演とセッションを行い、本取り組みの詳細や今後の展望について発表する予定です。