DX時代の新卒採用、最終面接は対面が主流に復帰中
近年の新卒採用における面接の実施方法に変化が見られています。人材サービスを展開する株式会社ヒューマネージが行った調査によると、最終面接は対面での実施が増えており、これまでのオンライン面接とは異なる新たな傾向が浮かび上がっています。こうした動きは、コロナ禍を経験した企業たちが、デジタル面接を最大限に活用しながらも、最終的な判断を対面で行うことで、より深い理解を得ようとしている結果と言えるでしょう。
一次面接はオンラインが主流
まず、一次面接についての調査結果に目を向けてみましょう。2021年から2026年までのデータを分析したところ、約90%の企業が一次面接をオンラインで行っていることが分かりました。これは、コロナ禍において多くの企業がリモートワークを導入したことや、応募者の利便性を考慮した戦略的な選択によるものです。
実際に応募者からは、オンライン面接の利便性を語る声も多く寄せられています。特に地方在住の学生や、海外で就職活動を行う際には、移動の手間が省けるため、非常に助かるという意見が多いです。このように、一次面接は応募者にとっても企業にとってもメリットが大きいのです。
最終面接は対面へのシフト
対する最終面接では、コロナ禍一年目の2021年には34%の企業が対面のみでの実施でしたが、2025年・2026年卒採用においては、なんと4社中3社(73%)が対面での実施に移行しています。これは企業が応募者に対する判断基準を高め、同時に自社の雰囲気を理解してもらうための戦略として見て取れます。
企業側からは、最終面接でオフィスを案内し、実際に働くイメージを持ってもらうための工夫が語られています。応募者との直接的なやり取りを通じて、双方にとってのマッチングをより良いものにすることが目的です。
応募者にとっても、実際の雰囲気や社員の人柄を直接感じ取ることができるこの対面式の面接は、非常に大きな意味を持つようです。応募者からは、「最終面接での対面があったからこそ、内定をもらえたのでは」との声も多く聞かれます。
新常識の形成
このような状況を受けて、今後も「一次面接はオンライン、最終面接は対面」という流れが定着することが予想されます。特に最終面接のリアル実施は企業にとっても採用の成功率を高めるための重要な要素となっています。コロナ禍を乗り越えた企業たちは、AIの活用とともに、より人間的な接触が重要であると認識し始めているのです。
デジタル化が進む中でも、結局は人と人との関係性が重要であることがこの調査から浮かび上がってきました。今後は、さまざまな接点を最大限に活用し、多面的な判断を行うことが、企業にとって重要な戦略になることでしょう。