タイのゴム農園でのバイオ炭肥料共同開発へ向けた取り組み
最近、Green Carbon株式会社はLiving Roots Pte. Ltd.との間で、タイを中心とした東南アジアのゴム農園に向けた大規模なバイオ炭肥料の共同開発に関する覚書(MOU)を締結しました。これにより、農業残渣を活用した持続可能な農業モデルを構築し、再生型農業とカーボンクレジットの創出を目指します。この具体的な取り組みは、気候変動への対応を目指す中で、農家の所得向上や土壌の再生に寄与するものと考えられています。
バイオ炭の重要性
タイの農業分野は、温室効果ガス排出の主要なセクターであり、2050年までにネットゼロ達成を目指す中で、具体的な解決策が求められています。特に、ゴム木の残渣は毎年150万トン以上が未利用となっており、これをバイオ炭として利用することで持続可能な資源に転換する期待が高まっています。両社は、年間3,000トンを超えるバイオ炭の供給体制を構築し、農家と土壌の幸福を同時に実現する地域経済の循環を目指します。
共同開発の概要
Green Carbonは、地元のゴム木とその他のバイオマス残渣を利用して高品質なバイオ炭を生産・供給します。同時に、Living Rootsの独自技術BioNutrient™を用いて、バイオ炭を環境に配慮した肥料として配合します。この肥料は、栄養効率の改善、土壌の生物多様性の促進、さらには干ばつや気候変動に強い土壌を育成するための「ミクロスポンジ」や「土壌の足場」としても機能します。
パートナーシップの背景
Green Carbonの代表取締役である大北潤氏はこの協業を「タイにおける高品質バイオ炭市場の拡大に重要な一歩」と捉えています。他方、Living Rootsのアビ・アガルワルCEOは「農業残渣を生かして生産性を回復し、農家に誇りを持たせたい」と、双方の思いが一致しています。
今後の展開
Green Carbonは、バイオ炭の生産体制を強化しつつ、肥料の登録市場投入を進める方針です。また、炭素除去クレジットの申請・認証を通じて、肥料販売とカーボンクレジット創出の二重収益モデルを確立し、事業の持続可能性を高めていくとしています。
両社の取り組みは、気候変動対策を行いながら農業の生産性を向上させ、地域社会に利益をもたらすものです。Green CarbonとLiving Rootsが手を結ぶことで、持続可能な農業の実現が期待されます。