新たな3Dプリンター住宅の未来を見据えた加力実験
日本初の3Dプリンター住宅メーカー、セレンディクス株式会社は、東京大学の生産技術研究所と共同で、今注目の3Dプリンター住宅の構造性能を確認するための加力実験を行いました。この実験は、東京大学の腰原研究室と丸山研究室の監修のもと、千葉実験所において実施されました。実験の目的は、3Dプリンターで作られた耐力壁の性能を科学的に評価し、将来の実物大実験に向けた基礎データを集めることです。
実験の背景と目的
セレンディクスの3Dプリンター製部材は、モルタルを使用しており、従来の建築基準法においては指定建築材料に含まれていないため、「非構造材」として扱われています。このため、建設コストや工期の削減の可能性がありながらも、構造材としての活用に向けたハードルが存在します。今回の実験は、こうした課題を克服するための第一歩と位置づけられています。
実験内容の詳細
実験では、異なるタイプの耐力壁に対して、横方向からの加力を加え、変形性能や耐力、破壊性状を評価しました。具体的には、6種類の試験体を製作し、その中でも特に引張材として鉄筋やGRC(ガラス繊維補強コンクリート)、ケーブル、炭素繊維シートを利用したものがあります。これにより、様々な補強材の特性を比較することができます。
試験体の構造と結果
試験体AからDは、水平積層面の耐力壁として各種特徴を持ち、試験体EとFは垂直積層面の耐力壁として設計されました。この結果、すべての試験体で実験が完了し、各種の性状に関するデータが収集されました。これにより、数多くのひび割れが発生した試験体も見られましたが、急激な耐力の低下は確認されず、安定した復元力が得られるなど、有望な結果が得られました。
今後の展望
今回の実験データを基に、2030年には実際の建物スケールでの耐震性能を検証する大規模な実験が予定されています。これにより、3Dプリント建築が持つ構造体としての信頼性や安全性が証明される見込みです。また、国土交通大臣認定を受けることで、建設の許可を得るプロセスがスムーズになることも期待されています。
セレンディクスの目指す未来
セレンディクスのCTOである飯田國大氏は、今回の実験が日本の厳しい耐震基準を満たす大きな可能性があると語ります。そして、この技術を世界中に広め、安全で手頃な住まいを提供する取り組みを続けていく意向を示しました。
日本初の3Dプリンター住宅メーカーであるセレンディクスは、今後も新たな技術開発に挑戦し続け、日本の建設業に革新をもたらす存在であり続けます。この実験が、将来的な住宅建設の新しい基盤となり、地域や国を問わず、より安全で快適な住まいの提供への道を拓くことが期待されます。