玄米発酵食品が高齢者の認知機能を保つ可能性を研究で発見
琉球大学の研究チームが、玄米および米糠を麹菌で発酵させた食品である玄米・米糠発酵食品(FBRA)が、高齢の肥満マウスにおける認知機能低下を効果的に抑制することを発見しました。この研究は、今後の認知機能障害の予防や改善に向けた新たなアプローチを示唆しています。
研究背景
認知機能障害の有病率は、世界中で増加しています。特に軽度認知障害(MCI)は、高齢者に多数見られる状態であり、多くの新しい治療法が試みられているものの、依然として安全性や経済的負担といった課題が残っています。このため、身近な食品成分を活用した脳の健康維持策が求められています。
今回の研究では、玄米の有効成分を簡単に摂取できるFBRAが、高齢の肥満マウスでの認知機能低下改善に寄与するかを検証しました。
研究方法
研究に用いられたのは、動物性脂肪を多く含む高カロリーの餌で長期間飼育した高齢の肥満マウスです。このマウスは、65歳くらいの小太りの肥満男性を模したモデルで、軽度認知障害の状態にありました。研究チームは、FBRAを50週間にわたり与える試験を実施し、以下の結果を明らかにしました。
認知機能の改善
FBRAを摂取したマウスは、摂取しなかったマウスに比べて、空間認識記憶能の評価において有意に認知機能の低下が抑えられたとの結果が得られました。NOL試験やY迷路試験を通じ、FBRAの効果が確認されました。
海馬における遺伝子群の発現誘導
また、FBRA摂取によって「海馬」における学習や神経活動に関与する先行遺伝子群(IEGs)の発現が特異的に増加したことが確認されました。これらの遺伝子はシナプス可塑性や長期記憶の形成に重要な役割を果たしています。このことから、FBRAが認知機能を改善するメカニズムが示唆されました。
安全性と特異性
FBRAの長期摂取による有害事象は認められず、神経炎症や神経新生への影響も見られなかったことから、FBRAは神経伝達や神経活動に関するシグナル伝達経路を調整することで、認知機能低下を防ぐ可能性が示されています。
今後の展望
本研究は、玄米や麹菌を利用した発酵食品が日本人にとって身近であることを考えると、高齢者の認知機能を維持・改善するための重要な知見となります。今後は人間を対象にした臨床試験や、FBRAに含まれる機能性成分の相乗効果に関する研究が進められることが期待されています。
参考文献
この研究成果は、国際栄養医薬品・機能性食品学会の公式医学誌「Journal of Food Bioactives」第34巻に掲載されており、学術界でも注目されています。
玄米・米糠発酵食品の魅力は、手軽に健康機能を取り入れられる点にあり、未来の健康促進に寄与することが期待されています。具体的な研究内容や結果については、学術研究解説サイト「ふぶらぼ」でも公開されています。