IT人材転職市場の現状と今後
2024年12月、レバテック株式会社は「IT人材の正社員転職/フリーランス市場動向」を発表しました。このレポートによると、IT人材の転職市場は今もなお「売り手市場」として活況を呈しています。注目すべきは、求人倍率が11.6倍に達し、特にセキュリティ関連の求人倍率が約50倍に及んでいる点です。これにより、業界全体の労働市場は大きな変化を迎えています。
IT人材転職市場の活性化
最新のデータによると、2024年12月時点での正社員求人数は前年同月比130%、転職希望者数は136%と、両方とも過去最高の水準を記録しています。これは、IT業界内でのスキル需要が急速に上昇していることを示しており、特にサイバーセキュリティの重要性が増していることに起因しています。厚生労働省の統計にも、2024年11月の正社員有効求人倍率が1.25倍であることから、IT人材の求人の多さは際立っています。
また、フリーランス案件の発生数も前年同月比142%の増加となり、高い水準を維持しています。これらのデータは、IT業界特有の多重下請け構造や賃金上昇の難しさから、フリーランスという働き方を選ぶ人が増加していることを示しています。
求人倍率トップはセキュリティ
職種別に見ると、転職求人倍率で「セキュリティ」が54.0倍と最も高い数値を記録しました。この増加は、サイバー攻撃への対策強化や新たな部署の設立など、企業のセキュリティ体制を強化する動きが影響を与えています。その他の職種も高倍率であり、「コンサル」が41.8倍、「PM」が24.6倍となっています。これらのデータは、IT業界の人材需要が多岐にわたることを示しています。
フリーランス案件の拡大
フリーランス市場も活発化しており、特に「PM」と「クラウド」に関連する案件の求人倍率が2.2倍となっています。これらのスキルは市場全体での需要が高いことが裏付けられます。また、Webアプリケーション開発に必要な「Java」や「C#/C#.NET」なども上位に位置しています。フリーランスとしては、長期プロジェクトへの参画や要件定義からリリースまでの責任ある業務が求められるケースが多くなっています。
2025年の崖
今後忘れてはならないのが「2025年の崖」と呼ばれる問題です。経済産業省のDXレポートによれば、この危機は日本企業が既存システムの問題提供に対応しない場合、毎年最大12兆円の経済損失を招く可能性があると報告されています。この問題を回避するためには、適切なスキルを持った人材の確保が不可欠であり、特に「コンサル」や「クラウド」、「セキュリティ」が前年比120%以上の求人数増加を記録しています。
特に、COBOLに関する求人も直近2年間で約2倍増加しており、レガシーシステムの対応が急務となっています。これにより、フリーランス案件においても求められるスキルは広がり、「PM」の需要が前年同月比214%、そして「コンサル」の需給も195%成長しています。これらはすべてDX推進のための人材確保に直結しています。
企業の取り組みと今後の展望
レバテックの代表執行役社長である髙橋悠人氏は、IT人材が必要とされる背景を詳しく説明し、特にセキュリティ専門人材の増加が求められると述べています。企業は優秀なIT人材を確保するために、多様な手段を取り入れる必要があると指摘しており、ダイレクトリクルーティングやフリーランス・副業人材の活用が重要とされています。このような市場の動向を踏まえ、企業はより攻めの採用にシフトしていく必要があるでしょう。今後も多様化するIT業界において、セキュリティ関連人材やDX推進人材がますます求められることでしょう。