ふるさと納税改正案、自治体23.9%が賛成!手数料削減期待も、制度の未来は?
株式会社ふるさと納税総合研究所が実施した、ふるさと納税改正案に関する自治体の意見調査結果が発表されました。ポータルサイトによる寄付者へのポイント付与を禁止する改正案に対し、多くの自治体が賛成傾向にあることが明らかになりました。
調査では、381の自治体を対象に、「寄附者に対しポイント等を付与するポータルサイト等を通じた寄附募集を禁止[告示改正。R7.10~]について、どのように評価しますか。」という質問が投げかけられました。その結果、「非常に賛成」が2.6%、「賛成」が21.3%、「中立」が53.8%、「反対」が17.8%、「非常に反対」が4.5%という結果になりました。
一見、賛否が拮抗しているように見えますが、中立評価の中に「手数料が下がるのであれば賛成」といった条件付きの賛成意見が多く含まれていることから、実質的には賛成意見が多数を占めていると言えるでしょう。
手数料削減への期待と制度の課題
賛成意見には、ポータルサイトの手数料削減による返礼品率の引き上げや、ポイント競争による悪影響からの脱却への期待が強く見られます。ポイント付与は、制度本来の趣旨から外れているとの指摘も多く、手数料削減による制度本来の目的への回帰を求める声が上がっています。
一方で、反対意見には、手数料削減効果が不透明であることや、運営事業者の利益が増えるだけではないかという懸念も表明されています。また、ポイント廃止による事務負担増加や、寄附金の減少による地域経済への悪影響を懸念する声も見られました。
制度の持続可能性を左右する課題
今回の調査結果から、ポイント付与の是非以外にも、ふるさと納税制度の持続可能性を左右する様々な課題が浮き彫りになっています。
自治体の負担軽減: 手数料削減による自治体の負担軽減は、制度の持続可能性を確保するために不可欠です。
返礼品競争の抑制: 返礼品競争の抑制は、制度の健全な発展を促進するために重要です。
寄附者への情報提供: 寄附者が制度を正しく理解し、自主的に寄附先を選択できるよう、情報提供の充実が求められます。
今後の展望
ふるさと納税総合研究所は、今回の調査結果を踏まえ、改正案が目的とする「制度本来の趣旨に沿った運用がより適正に行われる」を実現するため、以下の提言をまとめました。
ポータルサイトの手数料率の上限設定: 手数料の上限を設定することで、自治体の負担軽減を効果的に実現できると考えます。
地域に根ざしたインセンティブの提示: 寄附者の関心を維持するため、地域に根ざした新たなインセンティブの提供が重要です。
監視・運用組織の設置: 改正された制度の適正な運用と監視を行うための組織の設置が不可欠です。
寄附の使い道を重視したプロモーションの強化: 寄附者が地域貢献を実感できるようなキャンペーンを展開することで、寄附意欲を高めることができます。
正しい制度理解を広めるための情報提供: 寄附者が制度を正しく理解できるよう、わかりやすい情報提供を行うことが重要です。
今回の調査は、ポイント付与の是非だけでなく、ふるさと納税制度全体の課題を浮き彫りにしました。今後、自治体、寄附者、そしてポータルサイトの三者が協力し、より良い制度運営を目指していくことが重要です。