京セラが切削加工を変革する「VIMOA」サービスを2025年に開始
京セラ株式会社は、新たなセンシングソリューション「VIMOA」(ヴィモア)のサービス提供を2025年9月から開始することを発表しました。このサービスは、切削加工を見える化し、リアルタイムで監視・分析できる機能を搭載しています。これにより、製造現場での効率向上や不具合の管理が行いやすくなることが期待されています。
センシングツールの導入背景
切削加工業界は、多種多様な要素が関与するため、その性能を測定・評価するのが非常に難しいという課題があります。たとえば、切削工具や工作機械の性能、加工条件などが絡み合っており、視覚での確認ができない場合も多いのです。そのため、多くは「経験や勘」に依存する部分があり、作業者の技術に左右されやすいという問題がありました。
そこで京セラは、この「見えない」という状況を改善するために、独自のセンシングツールを開発。新たに導入される「VIMOA」は、これまでの課題を解決するための強力なツールとなります。
VIMOAのサービスプラン
「VIMOA」では、利用者のニーズに合わせた2つの主要なサービスプランが用意されています。まずは、センシングツールのレンタルを行う「センシングツールプラン」。こちらは、センシングツールや無線LANユニット、バッテリーをセットにした機器一式を14日間または30日間のレンタル形式で提供します。手軽に試せるプランとなっており、特に次のようなニーズに応える内容です:
- - 不具合の原因分析
- - エビデンスに基づく工程改善
- - 新規量産立ち上げにおけるスムーズな条件調整
レンタル料金はそれぞれ税抜きで、14日間が90,000円、30日間が160,000円です。
次に、「AIモニタリングプラン」は2026年春から提供の予定で、加工監視AIを組み合わせたパッケージです。これにより、量産ライン全体をモニタリングし、加工状況のリアルタイム監視や不具合管理が実現します。これにより、異常は即時に感知され、問題の早期発見につながります。特に、工作機械との通信とデータ解析により、加工状態をリアルタイムで把握することが可能です。
このプランにより、製造時の透明性と効率性が向上し、生産性のさらなる向上が見込まれています。
センシングツールの特長
「VIMOA」の核をなすセンシングツールは、加速度センサを採用した高性能デバイスであり、微細な振動を捉える能力を持ちます。このツールは、次のような特長があります:
- - 外部取り付け式:無線で機種を問わず簡単に取り付け可能。マグネット式なので、既存の工作機械にも問題なく設置できます。
- - リアルタイム計測:切削工具の振動や重心の変化をリアルタイムで計測。FFT解析により、異常を可視化します。
- - 高精度測定:22.0kHzの高サンプリングレートで、突発的なトラブルの原因の特定に役立ちます。
このように、京セラの「VIMOA」は多くの製造業者にとって、生産現場の課題を解決する重要なソリューションとなることでしょう。今後の展開に期待が寄せられています。